◇SH0204◇企業法務よしなしごと―ある企業法務人の蹣跚55 平田政和(2015/01/30)

そのほか法務組織運営、法務業界

(第55号)

企業法務よしなしごと

・・・ある企業法務人の蹣跚(まんさん)・・・

 

平 田 政 和

 

Ⅳ.Seniorのために・・・将来を見据えよう(その18)

【法務部への期待】

 

 今後の法務部には、端的に「企業における意思決定過程に参画すること」を期待したい。

 そのために法務部は何をなすべきか。これも端的に言えば「社内各部門との間に、実力に裏付けられた友好関係を醸成し、法務部に対する信頼を確保した上で、経営トップの信頼を得るよう努力する。」ということに尽きる。

 法務部が企業内外にアンテナを張り巡らせて情報の入手に努力するとともに、真の意味での実力を涵養し、経営トップや社内各部門から「意思決定の段階で法務部の参加を求める方が企業経営にとって有利である。」との信頼を得るべく努力することである。

 企業経営の環境がグローバル化し、外国人や海外の機関投資家が株主に占める割合が増加してきた現在では、透明性の高い、市場が満足するコーポレート・ガバナンスの構築、企業の社会的責任の履行、コンプライアンスの徹底、十分な情報の開示などが強く求められている。

 これらの事項はいずれも経営者自身が直接責任を持つべき経営事項であるが、同時に優れて法的問題であり、企業法務の助言と協力がなければ実現できない事項である。言い換えれば経営法務ともいうべき業務である。

 また、新たに制定され、改正される企業経営に直接・間接に関係する法律関係情報を収集し、自社の企業経営の観点から分析・評価するだけでなく、これらについてもタイムリーに経営トップや関係する各部門に情報発信しその実現につき協力する。

 最終的には、これらの活動を通じて法務部の責任者が取締役に就任し、取締役会のメンバーとなることである。最近では法務部の責任者が取締役に選任される事例が見受けられるが、この傾向が高まることを期待したい。

(以上)

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