銀行員30年、弁護士20年
第49回 常にカバンを持つ
弁護士 浜 中 善 彦
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時間を有効活用するためには、単に、机の前に座っている時間だけではなく、通学、通勤時間等の有効活用もきわめて重要である。最近は、電車に乗っても、スマホを見ている人が多い。ネクタイをした結構な年配のサラリーマンも少なくない。たまたまそういう人たちが隣に座ったとき、何をしているか見てみるとたいていはゲームのたぐいである。そんなことをするくらいなら、居眠りをした方がはるかにましである。
通勤、通学に限らず、隙間時間は結構あるので、隙間時間の有効活用のためには、できるだけ、カバンを持つようにすることである。ただし、カバンの中には、仕事に関連する資料等は入れない方がいい。通勤途上で紛失したりするといけないし、仕事のことは職場だけにする方がいい。したがって、カバンの中に入れて持ち歩くのは、読書のための本か資格試験受験の場合は、参考書類等に限定する。
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通勤時間の活用としては、新聞を読むのが基本であろう。最近は新聞を取らない人も多いと聞くが、スマホと新聞とは一覧性の点で異なるし、少なくとも、ビジネスパーソンが新聞を読まないというのはあまりに不勉強というべきである。私の若い頃、今からいうと50年以上も前になるが、管理職になれば、朝は職場でお茶を飲みながら新聞を読むのがごく普通であったが、今はそんな悠長なことは許されないであろう。新聞くらいは出勤前か、通勤電車の中で読んでほしい。
3
通勤時間のときの読書用としては、小説はあまりお勧めできない。小説は、やはりまとまった時間をかけて読まないと、ただ筋書だけを追いかけることになってしまう。ビジネス書か、資格試験受験の場合は参考書類であろう。司法試験受験生の場合は、細切れ時間用とまとまった時間用の2種類の参考書を入れておく。それと同時に、六法があると好都合である。しかし、小六法といえども、持ち運びとなると結構重い。そのため、私は、憲、民、刑や必要な法律は切り離して、必要な法律だけを持ち歩くことにしていた。
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常時持ち歩くためには、カバンはできるだけ軽いものがいい。ビニールまたは合成皮革のカバンに比べると、革のカバンは重いだけでなく、容量も劣る。カバンはビニールまたは合成皮革の軽いものを選ぶべきである。肩ひもがついているもの、リュックサックなどいろいろ試したが、混んでいる電車の中などでは、肩にかけられる方が便利である。
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通学、通勤の場合の勉強は、予習ではなく、もっぱら復習を中心とした知識の定着に当てるべきである。新しいことを理解するのは、やはり、机に座ってまとまった時間をかけないとムリだからである。さらに、仕事で出かける場合などは、予定より仕事が早く終わる、あるいは先方の都合で予定が変更になるなどして時間ができる場合がある。その場合、喫茶店を利用するという手もあるが、私は、有料の自習室を見つけておいて、そこで勉強することにしていた。たとえ30分でも、喫茶店と自習室では能率が全く違う。自習室では、六法を広げるなど、喫茶店ではできない学習環境を整えることができるからである。
以上