中南米における紛争解決
西村あさひ法律事務所
弁護士 齋 藤 梓
1 はじめに
中南米諸国に進出している企業にとって避けがたい大きな「リスク」の一つとして、現地で発生する紛争への対応が挙げられる。近時、トランスペアレンシー・インターナショナル[1]が発表した「腐敗認識指数(Corruption Perception Index:CPI[2])」によると、調査対象国168カ国のうち、中南米における最上位はウルグアイで21位、最下位はベネズエラで158位にランク付けされており、その他の主要国は、チリ23位、ブラジル76位、コロンビア83位、ペルー88位、メキシコ95位の順であった[3]。
必ずしも国家裁判所による透明かつ効率的な司法制度が確立していない中南米における紛争リスクにいかに対処していくかを検討するにあたり、まずは基礎知識として、日本企業にとって特に重要視されているブラジル、メキシコ、チリ、コロンビア及びペルーの5カ国に焦点をあわせて、各国の司法制度と利用可能な裁判外紛争解決手続について概観する。
2 国際商事紛争の解決手段[4]
本稿においては、各国別の紹介に入る前のイントロダクションとして、国際的な商事紛争についての各紛争解決制度の概要を以下に纏めておく。
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