ペルーにおける紛争解決手段
――ペルー進出企業が知っておくべき司法制度の概要――
西村あさひ法律事務所
弁護士 齋 藤 梓
多様な鉱物資源に恵まれたペルーは、日本にとって従来から主要な鉱産物供給国である。「経済上の連携に関する日本国とペルー共和国との間の協定」(日・ペルー経済連携協定(EPA))は、我が国が中南米ではメキシコ、チリに次いで3番目、全世界では13番目に締結した協定であり、2012年3月に発効した。近年日本においてその重要性がますます高まってきているペルーの司法制度について、以下概観する。
1 ペルーの裁判所制度
ペルーの裁判所は、最高裁判所、高等裁判所、一審裁判所(専門裁判所)、治安裁判所の4段階から構成される(治安裁判所には、事案及び係争額に応じて、法曹資格を有する裁判官による場合と、かかる資格を有しない市民裁判官による場合があり、これらを区別して5段階と説明することもある。下図参照。)。基本的には3審制が保障されており、陪審員による裁判は採用されていない。なお、ペルーでは、民事訴訟(商事事件を含む)を提起する前に調停による解決を試みなければならず、司法府により資格を与えられた専門家である調停員(ないし治安裁判官)により、提訴前の調停手続が執り行われる。
[ペルーの裁判制度概要]
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