チリ労働法の基礎
西村あさひ法律事務所
弁護士 梅 田 賢
1 はじめに
中南米における投資判断及び投資後のオペレーションを行うに際して、当該投資対象国における労働法制は事業活動の実態や事業運営上のコスト等に直接的な影響を与えることから、その理解が非常に重要となる。さらに、労働法制については各国における特徴的かつ独特な制度が時折見受けられる。そこで、本稿においてはかかる制度も含めて、チリにおける労働法制の概要を紹介したい。
2 労働法の概要について
チリの労働法のうち、雇用契約、労働時間、時間外労働、有給休暇、利益の分配、国籍要件及び雇用契約の終了に関する制度の概要は以下のとおりである。
とりわけ、会社の利益の一部を従業員に分配することが必要となる利益の分配に係る規制や、一定割合の従業員はチリ人であることが必要とされる国籍要件に関する規制は、日本とは異なる特徴的な制度である。かかる制度は、チリにおける人員配置や事業計画等にも影響を与え得るところであり、チリでの投資判断に際してはこうした法規制を予め織り込むことが肝要である。
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