アルゼンチンにおけるマクリ政権下の規制緩和
西村あさひ法律事務所
弁護士 伊 藤 豊
1 はじめに
アルゼンチンでは、マウリシオ・マクリ氏が2015年12月10日に大統領に就任した。マクリ政権は、2015年12月17日の管理変動為替相場制への移行を始めとして、前政権下での介入主義、保護主義的な政策により停滞していた経済の問題を解決するために様々な規制を緩和し、居住者、非居住者を問わずアルゼンチンでの経済活動を容易にするような改革を進めている。
本稿では、その一内容である外国為替取引規制と貿易規制の緩和の一部を取り上げる。
2 外国為替取引規制の緩和
⑴ 概要
アルゼンチンでは、外貨準備高の減少防止や、ペソ相場の維持を図る目的で、財やサービスの輸出入における決済、直接投資やポートフォリオ投資といった投資に係る資金の流出入等に関する外国為替取引に関して、アルゼンチンの居住者/非居住者、民間/公共機関、金融/非金融機関等を巡って、様々な規制が存在する。
以下では、非居住者による直接投資、ポートフォリオ投資、貸付けに関するマクリ政権開始後の規制内容の一端を紹介する。なお、外国為替取引の規制の枠組みは、アルゼンチン中央銀行が日々発する通達(Comunicación)の形式で補足されており、短期間のうちに変化し得ることに留意されたい。
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