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SH1638 アルゼンチンにおける税制改革――投資を呼び込むための税制改正(2) 古梶順也(2018/02/13)

組織法務監査・会計・税務

アルゼンチンにおける税制改革
――投資を呼び込むための税制改正(2)――

西村あさひ法律事務所

弁護士 古 梶 順 也

 

2 重要な改正点

⑷ 重畳的課税の低減

 アルゼンチンにおいては、①州税としての総売上税(Impuesto sobre los Ingresos brutos)及び印紙税(Impuesto a los Sellos[1]や②国内の金融機関に開設した銀行口座(当座口座)を通じた入金取引及び出金取引のそれぞれに0.6%の税率で課せられる金融取引税といった重畳的課税[2]が物品・サービスの価格を押し上げる一因となっている。

 今回の税制改革の一環として、2017年11月16日に、中央政府は、サンルイス州を除く22州及びブエノスアイレス特別自治市との間で財政協定を締結し、当該財政協定において、各州政府はそれぞれの州の総売上税及び印紙税を低減することを合意した。これにより、2022年までに各州の総売上税及び印紙税が低減されることが予定されている[3]

 金融取引税に関しては、これまでも金融取引税として支払った額の一部について、法人所得税の前払いとして納税者が納付する法人所得税額から控除することが認められていたが、本改正法と同じ日に公布された法律第27,432号[4]により、かかる法人所得税の前払いとして法人所得税から控除することが認められる割合を2022年までに段階的に増加することができる権限が行政府に与えられることとなった。そのため、将来的に行政府が当該権限を行使することで、法人所得税から控除できる金融取引税支払額が増加し、これにより金融取引税に係る負担が実質的に軽減されることが期待されている。

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