JASRAC、楽器教室における演奏等の管理開始についての概要を公表
―Q&A形式で概要を説明―
日本音楽著作権協会(JASRAC)は2月27日、楽器教室における演奏等の管理開始について、その概要をQ&A形式で公表した。
楽器教室における演奏等の管理開始の方針について、JASRACでは2月2日の記者懇談会で明らかにしていたが、主に管理対象となる大手楽器教室運営事業者との協議中でもあり、内容の詳細は公表してこなかった。しかし、「一部報道やSNS等において事実と異なる情報も広がっている」状況に鑑み、今回、全12問のQ&A形式で概要を説明しようとしたものである。
それによると、JASRACでは、楽器教室における使用料徴収について、2003年から楽器メーカー等と協議を重ねる一方、管理著作物の演奏利用について各利用者団体との協議等を経て管理を開始してきた。
- ・ 2011年4月からフィットネスクラブ
- ・ 2012年4月からカルチャーセンター
- ・ 2015年4月から社交ダンス以外のダンス教授所 (社交ダンス教授所は1971年から)
- ・ 2016年4月からカラオケ教室、ボーカルレッスンを含む歌謡教室
こうして、同じ音楽教室でありながら、楽器教室のみが使用料の徴収を行っていないため、「既に使用料のお支払いをいただいている各種教室の事業者との間の公平性を確保する観点からも、これ以上、楽器教室の使用料徴収の開始を遅らせることはできない」としている。
そして、今後、利用者団体との協議を経て、今年7月に使用料規程を文化庁長官に届け出て、来年1月から管理を開始する予定であるとしている。
以下、その他の主なQ&Aを紹介する。
- ○ 対象となる楽器教室
- Q3 楽器教室での演奏は教育目的なので、演奏権は及ばないのではないですか?
-
A 著作権法では以下の3つの要件を全て充たしている場合には、権利者の許諾を得ることなく演奏できると定めています。
(1) 営利を目的としていない
(2) 聴衆または観衆から、入場料ほか料金を徴収しない
(3) 出演者等に報酬が支払われない
したがいまして、上記の3要件を全て充たしている場合は演奏権は及びませんが、その1つでも該当しない場合は許諾を得ていただく必要があります。営利事業である音楽教室での音楽著作物の演奏利用には演奏権が及ぶこととなります。 - ○ 法的根拠
- Q4 楽器教室での演奏は公の演奏に当たらないので演奏権は及ばないのではないのですか?
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A 楽器教室において音楽著作物を演奏する主体は、著作権法上の規律の観点から、当該楽器教室の経営者です。そして、楽器教室における音楽著作物の利用は不特定の顧客(受講者)に対するものですから、公の演奏にあたります。各種教室事業のうちダンス教室における音楽著作物の演奏利用は公衆(不特定かつ多数)に対するものとの判断が既に示されています(名古屋高判平16・3・4判時1870号123頁)。
- ○ 教材の著作権処理について
- Q10 楽譜、CD、DVDなど楽器教室で利用する教材は、既に許諾手続を済ませているはずなので、別途、使用料の支払いは不要ではないのですか?
- A 音楽著作物は、CDへの録音、放送、配信、演奏等のさまざまな利用方法があります。そこで、それらの利用方法に応じ、その都度それぞれの利用者から許諾手続をとっていただくことになります。例えば、すでに音楽著作物の「複製」利用の許諾手続を済ませている楽譜であっても、その楽譜に記載された音楽著作物を「演奏」利用する際は、別途「演奏」利用の許諾手続が必要になります。
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○ JASRAC、楽器教室における演奏等の管理開始について(2月27日)
http://www.jasrac.or.jp/news/17/0227.html