SH4401 ベトナム:土地法改正案~土地使用料の一括払いができなくなる?~ 澤山啓伍(2023/04/10)

そのほか労働法

ベトナム:労働法Q&A 移動時間に残業代を支払う必要があるか

長島・大野・常松法律事務所

弁護士 澤 山 啓 伍

 

はじめに

 ベトナムでは、土地の使用に関する制度、土地使用者の権利義務等に関して定める土地法の全面改正が計画されており、今般その新たな草案が公開され、2回目のパブリックコメント手続が1月3日から3月15日までの予定で行われている。この法案は、本年5月の国会で討議され、10月の国会で決議される予定になっている。本稿では、前回の草案に含まれていた点も含め、今回の草案において、外国投資家に影響がありそうな改正点をいくつかピックアップしてご紹介する。

 

1 前提としてのベトナムの土地制度

 社会主義国であるベトナムにおいては、憲法上全ての土地は全人民のものであると規定されており、ベトナム人、外国人の別を問わず、私人による土地の所有は認められていない。この大原則は現行法でも草案でも変わっていない。土地所有権が認められない代わりに、ベトナムにおける個人及び企業による土地の利用は、土地使用権に基づいて行われる。土地使用権は、国から割当てまたは賃貸により与えられるものである。原則として、土地の使用目的や土地使用権の有効期間は限定され、土地使用権者は国に対して一定の対価(土地使用権の取得方法により「土地使用料」という場合と「土地賃料」という場合があるが、以下では一括して「土地使用料」と呼ぶ)の支払いを要する。

 ベトナムにおける現行の土地制度に関して、詳しくは当事務所発行の「アジアビジネス法ガイド ベトナム編(こちらからダウンロード可能)」24頁以下をご参照いただきたい。

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(さわやま・けいご)

2004年 東京大学法学部卒業。 2005年 弁護士登録(第一東京弁護士会)。 2011年 Harvard Law School卒業(LL.M.)。 2011年~2014年3月 アレンズ法律事務所ハノイオフィスに出向。 2014年5月~2015年3月 長島・大野・常松法律事務所 シンガポール・オフィス勤務 2015年4月~ 長島・大野・常松法律事務所ハノイ・オフィス代表。

現在はベトナム・ハノイを拠点とし、ベトナム・フィリピンを中心とする東南アジア各国への日系企業の事業進出や現地企業の買収、既進出企業の現地でのオペレーションに伴う法務アドバイスを行っている。

 

長島・大野・常松法律事務所 http://www.noandt.com/

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