英データ保護当局、生成型AIの利用等にかかる留意点を公表
アンダーソン・毛利・友常法律事務所[*]
弁護士 後 藤 未 来
弁護士 高 羽 芳 彰
1 はじめに
生成AI(Generative AI)の代表例であるChatGPTは、昨年11月にリリースされてから2か月でアクティブユーザーが1億人を突破したと言われており、ここ1年足らずで急速に発展している。このように、ChatGPTは世界中のユーザーに広く受け入れられ、利便性が認められる一方、そのリスクを指摘する声もあがっている。たとえば、米国では、ChatGPTの最新のモデルを上回るシステムの開発を一時停止するよう求める署名活動が行われる等の動きも報じられている。また、個人情報の取扱いをめぐっては、イタリアのデータ保護当局が3月31日、個人データの収集等に問題があるとして、ChatGPTの使用を一時禁止した[1]。
このような状況において、英国のデータ保護当局であるInformation Commissioner’s Office(以下「英ICO」)は4月3日、生成型AIの開発・利用に際しての留意点を公表した[2]。これらは、英国の一般データ保護規則(以下「UK GDPR」)に基づく議論ではあるが、他の欧州諸国や日本等における検討視点としても参考になり得るところであり、以下その内容を概観する。
2 英ICOの留意点の概要
公表された留意点(8つ)を一覧化すると、下表のとおりであり、それぞれ英国の一般データ保護規則(UK GDPR)の関連条文に基づいている。
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(ごとう・みき)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー、弁護士・ニューヨーク州弁護士。理学・工学のバックグラウンドを有し、知的財産や各種テクノロジー(IT、データ、エレクトロニクス、ヘルスケア等)、ゲーム等のエンタテインメントに関わる案件を幅広く取り扱っている。ALB Asia Super 50 TMT Lawyers(2021、2022)、Chambers Global(IP分野)ほか選出多数。AIPPIトレードシークレット常設委員会副議長、日本ライセンス協会理事。
(たかば・よしあき)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。2015年慶應義塾大学理工学部卒業。2017年慶應義塾大学大学院理工学研究科修士課程修了。2022年弁護士登録(第一東京弁護士会)。
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/
<事務所概要>
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