内閣府、AI使用に関する国際ガイダンスに、
10か国の関係当局と共同署名
アンダーソン・毛利・友常法律事務所*
弁護士 中 崎 尚
1 はじめに
2023年1月24日、内閣府科学技術・イノベーション推進事務局と内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)は、ともに、豪州通信電子局(ASD)豪州サイバーセキュリティセンター(ACSC)が、カナダ、ニュージーランド、英国、米国の関係当局とともに作成したAI使用に関する国際ガイダンス”Engaging with Artificial Intelligence(AI)”(以下「本件文書」という。)の「共同署名」(日本のほか、図表1の10か国の関係当局が参加)に加わり、本件文書を公表した[1]。本記事では、本件文書の概要とその位置づけ、AIに関する課題を中心に紹介する。なお、本記事で取り上げているAIの課題については、拙著『生成AI法務・ガバナンス』(商事法務、2024刊行予定)でも紹介している。
図表1 本件文書に署名した各国の組織一覧
国名 | 組織名 |
米国 | サイバーセキュリティ・インフラストラクチャー安全保障庁(CISA) 連邦捜査局(FBI) 国家安全保障局(NSA) |
英国 | 国家サイバーセキュリティセンター (NCSC-UK) |
カナダ | カナダサイバーセキュリティセンター (CCCS) |
ニュージーランド | ニュージーランド国家サイバーセキュリティセンター (NCSC-NZ) |
ドイツ | 連邦情報セキュリティ庁 (BSI) |
イスラエル | イスラエル国家サイバー総局 (INCD) |
日本 | 内閣サイバーセキュリティセンター (NISC) 内閣府科学技術・イノベーション推進事務局 |
ノルウェー | ノルウェー国家サイバーセキュリティセンター (NCSC-NO) |
シンガポール | サイバーセキュリティ庁 (CSA) |
スウェーデン | スウェーデン国家サイバーセキュリティセンター |
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(なかざき・たかし)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所スペシャルカウンセル。東京大学法学部卒、2001年弁護士登録(54期)、2008年米国Columbia University School of Law (LL.M.)修了、2009年夏まで米国ワシントンD.C.のArnold & Porter法律事務所に勤務。復帰後は、インターネット・IT・システム関連を中心に、知的財産権法、クロスボーダー取引を幅広く取扱う。日本国際知的財産保護協会編集委員、経産省おもてなしプラットフォーム研究会委員、経産省AI社会実装アーキテクチャー検討会作業部会構成員、経産省IoTデータ流通促進研究会委員、経産省AI・データの利用に関する契約ガイドライン検討会委員、International Association of Privacy Professionals (IAPP) Co-Chairを歴任。2022年より内閣府メタバース官民連携会議委員。
<事務所概要>
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業は、日本における本格的国際法律事務所の草分け的存在からスタートして現在に至る、総合法律事務所である。コーポレート・M&A、ファイナンス、キャピタル・マーケッツ、知的財産、労働、紛争解決、事業再生等、企業活動に関連するあらゆる分野に関して、豊富な実績を有する数多くの専門家を擁している。国内では東京、大阪、名古屋に拠点を有し、海外では北京、上海、香港、シンガポール、ホーチミン、バンコク、ジャカルタ等のアジア諸国に拠点を有する。
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