SH4500 Legal as a Service (リーガルリスクマネジメント実装の教科書) 第3回 3つの法務機能実装、第1歩はどこ? 渡部友一郎/東郷伸宏(2023/06/19)

そのほか法務組織運営、法務業界

Legal as a Service (リーガルリスクマネジメント実装の教科書)
第3回 3つの法務機能実装、第1歩はどこ?

Airbnb Japan株式会社
渡 部 友一郎

合同会社ひがしの里・セガサミーホールディングス株式会社
東 郷 伸 宏

 

リーガルリスクマネジメントの教科書 バックナンバー

 

©弁護士・グラフィックレコーダー 田中暖子 2023 [URL]

 

1 共通の悩みの特定

 第1回第2回は「法務=コストセンター」という共通の悩みを打破するために、経済産業省「国際競争力強化に向けた日本企業の法務機能の在り方研究会 報告書」をともに再訪しました。その中で「3つの法務機能」(ガーディアン機能・クリエーション機能・ナビゲーション機能)が重要なスタート地点であることを一緒に考えました。

 ところが、いざ所属企業の法務部門で3つの法務機能を強化・拡充しようと考えた場合、「何から手をつけていいのか、わからない」という共通の悩みに直面します。すなわち、私たちは、2019年版報告書を読んでいる最中は、「ふむふむ、そういうものか!」と頭で理解していますが、アクションに落とし込む際に、戸惑いを覚えるのです。

 

2 共通の悩みの分析

 この共通の悩みの正体は何でしょうか。

 多様な考え方があると思いますが、私たちが考える回答は、3つの法務機能が、相互に重なり合う部分があり、「アクション」自体を定義したものではないことが原因と考えています。

 

3 共通の悩みの評価

 

出典:経済産業省経済産業政策局競争環境整備室「法務機能の実装の強化及び法務人材の育成に向けた方策〈国際競争力強化に向けた日本企業の法務機能の在り方研究会 報告書〉」(令和元年8月30日)9頁

 

 ここで、架空の法務相談に対する法務部門の回答を例に考えてみましょう。

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(わたなべ・ゆういちろう)

鳥取県鳥取市出身。2008年東京大学法科大学院修了。2009年弁護士登録。現在、米国サンフランシスコに本社を有するAirbnb(エアビーアンドビー)のLead Counsel、日本法務本部長。米国トムソン・ロイター・グループが主催する「ALB Japan Law Award」にて、2018年から2022年まで、5年連続受賞。デジタル臨時行政調査会作業部会「法制事務のデジタル化検討チーム」構成員、経済産業省「国際競争力強化に向けた日本企業の法務機能の在り方研究会」法務機能強化実装WG委員など。著書に『攻めの法務 成長を叶える リーガルリスクマネジメントの教科書』(日本加除出版、2023)など。

 

(とうごう・のぶひろ)

金融ベンチャー役員を経て、2006年サミー株式会社に入社。以降、総合エンタテインメント企業であるセガサミーグループの法務部門を歴任。上場持株会社、ゲームソフトウェアメーカー、パチンコ・パチスロメーカーのほか、2012年にはフェニックス・シーガイア・リゾート(宮崎県)に赴任。部門の立ち上げから、数十名規模の組織まで、多種多様な法務部門をマネジメント後、2022年には組織と個人の競争力強化を目的とする合同会社ひがしの里を設立。2023年からはセガサミーグループにおける内部監査部門を担当。

 

 

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