SH4520 シンガポール:脱炭素と金融庁のネットゼロに向けたファイナンス(FiNZ)行動計画 長谷川良和(2023/06/29)

組織法務サステナビリティ

シンガポール:脱炭素と金融庁のネットゼロに向けたファイナンス(FiNZ)行動計画

長島・大野・常松法律事務所

弁護士 長谷川 良 和

1 金融庁のネットゼロに向けたファイナンス行動計画の公表

 2023年4月20日、シンガポール政府は、脱炭素社会を見据えた金融庁[1]のネットゼロに向けたファイナンス(FiNZ)行動計画(「本行動計画」)を公表した[2]。本行動計画は、アジアの温室効果ガスの排出量を吸収量及び除去量と均衡させて正味ゼロ(ネットゼロ)にするという脱炭素社会への移行と脱炭素活動を支援するためのファイナンス戦略を定めるものであり、2019年に開始した金融庁のグリーンファイナンス行動計画の範囲を拡大するものである。脱炭素社会への移行に係るファイナンスは、トランジション・ファイナンスとも呼ばれ、電力、不動産及び交通等の分野を着実に脱炭素化するための取組を支援する投資、貸付、保険及び他の関連ファイナンスを意味する。

 近時、東南アジア域内のインフラや不動産投資等の個別案件においても、脱炭素化要素を投資や貸付の適格基準等として設定する案件をサポートする機会は増えつつあり、トランジション・ファイナンスの重要性は今後も増していくと見込まれる。

 そこで、以下では、金融庁のネットゼロに向けたファイナンス行動計画について紹介する。

この記事はプレミアム向け有料記事です
ログインしてご覧ください


(はせがわ・よしかず)

東京大学法学部卒業、同大学院法学政治学研究科修了、Columbia University School of Law(LL.M.)卒業。三菱商事株式会社勤務、Allen & Gledhill LLP(シンガポール)出向を経て、2013年1月から長島・大野・常松法律事務所シンガポール・オフィス勤務。

シンガポールを拠点に、シンガポール、マレーシア、ミャンマーを含む東南アジアその他アジア地域において、進出、日常的な法務問題、M&A、ジョイント・ベンチャー、危機対応、エネルギー・インフラ案件等、日系企業が直面する法律問題を幅広くサポートしている。

 

長島・大野・常松法律事務所 http://www.noandt.com/

長島・大野・常松法律事務所は、約500名の弁護士が所属する日本有数の総合法律事務所です。企業法務におけるあらゆる分野のリーガルサービスをワンストップで提供し、国内案件及び国際案件の双方に豊富な経験と実績を有しています。

当事務所は、東京、ニューヨーク、シンガポール、バンコク、ホーチミン、ハノイ、ジャカルタ及び上海に拠点を構えています。また、東京オフィス内には、日本企業によるアジア地域への進出や業務展開を支援する「アジアプラクティスグループ(APG)」及び「中国プラクティスグループ(CPG)」が組織されています。当事務所は、国内外の拠点で執務する弁護士が緊密な連携を図り、更に現地の有力な法律事務所との提携及び協力関係も活かして、特定の国・地域に限定されない総合的なリーガルサービスを提供しています。

詳しくは、こちらをご覧ください。

タイトルとURLをコピーしました