厚労省、個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会(第13回)報告書素案を公表
岩田合同法律事務所
弁護士 金 井 優 憲
1 はじめに
厚生労働省は、いわゆる建設アスベスト訴訟に係る最高裁判決において、労働安全衛生法の一部の規定について、労働者に該当しない一人親方等であっても保護する趣旨の規定であると説示された[1]ことを契機として、2022年5月13日、「個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会」(以下「本検討会」という。)を設置し、以後、有識者により、労働者ではない個人事業主等(フリーランス等)の業務上の災害に係る安全衛生対策についての議論が重ねられてきた。
そして、2023年7月31日付けの第13回会議においては、これまでの議論を整理した報告書素案[2](以下「報告書素案」という。)を公開するに至った。
本稿では、①報告書素案、及び②同素案中、引き続き検討すべき論点とされた点の各概要につき説明を行う。
2 報告書素案の概要
本検討会は、労働安全衛生法第22 条以外の規定について[3]、労働者以外の者に対する保護措置をどうするべきか、注文者による保護措置のあり方、個人事業者自身による事業者としての保護措置のあり方などについて議論することを目的とし、他方で、個人事業者等に関する業務上の災害の実態を把握することも災害防止のために有効であるとして、第1回検討会の後、論点を整理し、検討を進めてきた(詳細は、下記「検討を進めるに当たっての論点の整理」を参照。)。
出典:本検討会第2回資料『論点の整理』より抜粋[4]
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(かない・まさのり)
岩田合同法律事務所所属。2015年京都大学法学部卒業。2017年京都大学法科大学院終了。2019年1月判事補任官。横浜地方裁判所勤務を経て、2022年4月「判事補及び検事の弁護士職務経験に関する法律」に基づき弁護士登録。
岩田合同法律事務所 http://www.iwatagodo.com/
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1902年、故岩田宙造弁護士(後に司法大臣、貴族院議員、日本弁護士連合会会長等を歴任)により創立。爾来、一貫して企業法務の分野を歩んできた、我が国において最も歴史ある法律事務所の一つ。設立当初より、政府系銀行、都市銀行、地方銀行、信託銀行、地域金融機関、保険会社、金融商品取引業者、商社、電力会社、重電機メーカー、素材メーカー、印刷、製紙、不動産、建設、食品会社等、我が国の代表的な企業等の法律顧問として、多数の企業法務案件に関与している。
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厚労省、個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会(第13回)資料〔これまでの議論の整理(報告書素案)〕
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_34484.html