文化庁、「AIと著作権に関する論点整理について」を公表
アンダーソン・毛利・友常法律事務所*
弁護士 後 藤 未 来
弁護士 吉 田 崇 裕
1 はじめに
近時、Chat GPTを始めとする生成AIが注目を集めており、企業や個人等による利用の動きが加速している。このように生成AIが社会に浸透していく中で、その利用をめぐる法的な問題についても各国での議論が活発化している。また、生成AIと著作権をめぐる紛争もすでに生じており、たとえば米国では、アーティストが、Stable Diffusionという画像生成AIの開発元であるStability AI社等に対し、著作権侵害等を理由に訴訟を提起している[1]。
そのような状況下で、文化庁は、令和5年6月に「AIと著作権」と題し、現行著作権法の考え方やAIと著作権の関係に関する講演を行った[2]。
また、令和5年7月26日には文化庁の第23期著作権分科会法制度小委員会の第1回が開催され[3]、同小委員会ではAIと著作権に関する論点の整理が行われた。
本稿では、同小委員会における配布資料である「AIと著作権に関する論点整理について」(以下「本資料」という。)[4]を踏まえ、生成AIを開発・利用する場合の著作権法上の論点の整理状況を概観する。
2 生成AIの開発・利用における著作物の主な利用形態と法的論点の整理
本資料では、生成AIの開発・利用に関して著作物が利用される主な場面・態様について、一般的な一例として、下図のように整理している。
出典:本資料2頁
上図の整理の特徴としては、まず、生成AIの開発・利用にかかわる行為者を3つに分類(開発者、サービス提供者、利用者)した上で、行為者の類型ごとに、著作物の利用が問題となり得る主な開発・利用行為の類型を整理している点が挙げられる。そのポイントを纏めると下表のようになる。
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(ごとう・みき)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー、弁護士・ニューヨーク州弁護士。理学・工学のバックグラウンドを有し、知的財産や各種テクノロジー(IT、データ、エレクトロニクス、ヘルスケア等)、ゲーム等のエンタテインメントに関わる案件を幅広く取り扱っている。ALB Asia Super 50 TMT Lawyers(2021、2022)、Chambers Global(IP分野)ほか選出多数。AIPPIトレードシークレット常設委員会副議長、日本ライセンス協会理事。
(よしだ・たかひろ)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。2018年東京大学工学部卒業。2020年東京大学大学院情報理工学系研究科数理情報学専攻修士課程修了。2022年弁護士登録(第二東京弁護士会)。
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/
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