SH4668 人的資本経営の実践と情報開示の実務対応 第4回:人材版伊藤レポートの概要と狙い 堀田陽平(2023/10/30)

組織法務ディスクロージャー経営・コーポレートガバナンス

人的資本経営の実践と情報開示の実務対応
第4回:人材版伊藤レポートの概要と狙い

日比谷タックス&ロー弁護士法人

弁護士 堀 田 陽 平

 

第2部 人的資本経営の実践
 第4回:人材版伊藤レポートの概要と狙い

【今回の狙い】

 連載第4回では、現在進められている人的資本政策の始まりとなった人材版伊藤レポートについて、その概要と狙いを解説します。

 

【今回の主なターゲット】

  • 取締役会、取締役会事務局
  • 経営戦略部門
  • IR部門
  • サステナビリティ部門
  • 人事担当部門

 

1 はじめに

 今回から、第2部「人的資本経営の実践」に入っていきます。

 本連載第3回で解説したとおり、人的資本政策は「人的資本経営の実践」と「人的資本の情報開示」を車の両輪として位置づけており、「人的資本経営の実践」の指針となるのが、今回から説明する人材版伊藤レポートおよび人材版伊藤レポート2.0です。

 特に、人材版伊藤レポートは、人材版伊藤レポート2.0はもちろん、人的資本可視化指針よりも前に出されたものです。そのため、人材版伊藤レポートには、現在進められている人的資本政策の始まりとして、根本的な考え方や狙いが明記されていることから、まずは人材版伊藤レポートをしっかりと理解いただきたいです。

 

2 「人材版伊藤レポート」とは

 本連載第1回から「人材版伊藤レポート」という言葉がしばしば登場していますが、本連載の読者の中には、そもそも「人材版伊藤レポート」の存在を知らない人もいるでしょう。

 「人材版伊藤レポート」とは、経済産業省産業人材政策室(当時。今は「課」)が2020年9月に「持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会」の報告書として公表したものです。

 「持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会」は、(人材版ではない)伊藤レポートで有名な一橋大学の伊藤邦雄教授を座長とし、企業のCHRO、取締役、機関投資家、そしてシンクタンク等の有識者をメンバーとして開催された研究会です。

 また、この研究会のオブザーバーとして金融庁企画市場局企業開示課が参画しており、今後解説していくとおり、人材版伊藤レポートは、2021年6月に行われたコーポレートガバナンス・コードの改訂にも影響を与えることになります(余談ですが、人材版伊藤レポートは英語版も作成されており、英語版には筆者の名前も記載されています。)。

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(ほった・ようへい)

2016年弁護士登録(第69期。第二東京弁護士会)。2017年鳥飼総合法律事務所入所。
2018年7月現在の事務所へ移籍。2018年10月から経済産業省経済産業政策局産業人材政策室(当時。現在は「課」)に任期付き職員として着任。
経済産業省では、兼業・副業の推進、テレワークの推進、フリーランス政策等の柔軟な働き方に関する政策立案や、人材版伊藤レポートの策定等の人的資本経営の推進に関する政策立案等に従事。経済産業省から帰任後も人的資本経営の実践・開示に関するセミナーや寄稿を行う。

 

 

 

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