SH4605 最二小判 令和5年5月19日 3番所有権抹消登記等請求事件(岡村和美裁判長)

家族・相続・成年後見そのほか

最二小判 令和5年5月19日 3番所有権抹消登記等請求事件(岡村和美裁判長)

【判示事項】

 1 遺言執行者は、共同相続人の相続分を指定する旨の遺言を根拠として、平成30年法律第72号の施行日前に開始した相続に係る相続財産である不動産についてされた所有権移転登記の抹消登記手続を求める訴えの原告適格を有するか

2 相続財産の全部又は一部を包括遺贈する旨の遺言がされた場合における、上記の包括遺贈が効力を生じてからその執行がされるまでの間に包括受遺者以外の者に対してされた不動産の所有権移転登記の抹消登記手続又は一部抹消(更正)登記手続を求める訴えと遺言執行者の原告適格

3 複数の包括遺贈のうちの一つがその効力を生ぜず、又は放棄によってその効力を失った場合における、その効力を有しない包括遺贈につき包括受遺者が受けるべきであったものの帰すう

【判決要旨】

1 遺言執行者は、共同相続人の相続分を指定する旨の遺言を根拠として、平成30年法律第72号の施行日前に開始した相続に係る相続財産である不動産についてされた所有権移転登記の抹消登記手続を求める訴えの原告適格を有するものではない。

2 相続財産の全部又は一部を包括遺贈する旨の遺言がされた場合において、遺言執行者は、上記の包括遺贈が効力を生じてからその執行がされるまでの間に包括受遺者以外の者に対する所有権移転登記がされた不動産について、上記登記のうち上記不動産が相続財産であるとすれば包括受遺者が受けるべき持分に関する部分の抹消登記手続又は一部抹消(更正)登記手続を求める訴えの原告適格を有する。

3 複数の包括遺贈のうちの一つがその効力を生ぜず、又は放棄によってその効力を失った場合、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときを除き、その効力を有しない包括遺贈につき包括受遺者が受けるべきであったものは、他の包括受遺者には帰属せず、相続人に帰属する。

【参照条文】

(1、2につき)民法(平成30年法律第72号による改正前のもの)1012条、1013条、1015条、民訴法第1編第3章 当事者

(1につき)民法(平成30年法律第72号による改正前のもの)902条1項

(2につき)民法(平成30年法律第72号による改正前のもの)964条

(3につき)民法990条、995条

【事件番号等】

 令和4年(受)第540号 最高裁判所令和5年5月19日第二小法廷判決 3番所有権抹消登記等請求事件(民集77巻4号登載予定) 一部破棄自判・一部棄却

 原 審:令和元年(ネ)第3168号 東京高裁令和3年10月21日判決
 第1審:平成30年(ワ)第38626号 東京地裁令和元年6月25日判決 

【判決文】

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=92085

【解説文】

この記事はプレミアム向け有料記事です
ログインしてご覧ください


タイトルとURLをコピーしました