公取委・中企庁、27業種の事業者団体に対して
傘下企業による「法遵守状況の自主点検」の実施を要請
――昨年比・8業種追加、社内管理体制の構築状況など
点検結果は2023年内に取りまとめへ――
公正取引委員会・中小企業庁は9月20日、法違反等が多く認められる27業種につき、これらの事業者団体に対して「傘下企業による法遵守状況の自主点検の実施」を要請すると発表した。昨年は9月14日に発表された19業種を対象とする同様の要請について、昨年と同様に事業所管省庁との連名により、本年は対象業種を27業種に拡大して行うものとなる。点検結果については2023年内を目途として取りまとめる。
公取委・中企庁においては関係省庁とともに2021年12月27日公表「パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化施策パッケージ」に基づく取組みをさまざまに継続しているところ、上記・昨年9月発表の自主点検要請を受けては2022年12月14日、その結果が「転嫁円滑化施策パッケージに基づく法遵守状況の自主点検の結果について」として公表された。業種ごとに「事業者団体における今後の取引適正化に向けた取組及び考え方」が取りまとめられており、本年の自主点検要請はこれらの「フォローアップの開始」と位置付けられるとともに、公取委・2023年3月1日策定「令和5年中小事業者等取引公正化推進アクションプラン」における「第2 下請法の執行強化等」「3 法違反等が多く認められる業種における取引適正化に向けた取組強化の把握」に基づく施策となる。
また本年は、公取委による(ア)2022年12月27日公表「独占禁止法上の『優越的地位の濫用』に関する緊急調査の結果について」(SH4278 公取委、独占禁止法上の「優越的地位の濫用」に関する緊急調査結果及び独禁法43条に基づく事業者名の公表 藤並知憲(2023/01/20)参照)および(イ)2023年6月1日公表「令和4年度における荷主と物流事業者との取引に関する調査結果及び優越的地位の濫用事案の処理状況について」(SH4488 公取委、2022年度の「荷主と物流事業者との取引に関する調査結果」を発表――荷主への立入調査実施は101名・前年度比82名増、注意喚起文書送付も777名・前年度比136名増に(2023/06/14)既報)を踏まえて「これらの調査における注意喚起文書の送付件数又は割合が多かった業種」を追加、27業種を対象とすることとされた。
本年の自主点検要請において追加された8業種は、次のとおりである。①総合工事業、②飲食料品卸売業、③建築材料、鉱物・金属材料等卸売業、④飲食料品小売業、⑤機械器具小売業、⑥不動産取引業、⑦不動産賃貸業・管理業、⑧協同組合。また、昨年9月の自主点検要請において「荷主による独占禁止法違反につながるおそれのある行為が多く認められる業種における法遵守状況の自主点検の対象業種一覧」とされた①化学工業、②生産用機械器具製造業、③放送業、④各種商品卸売業、⑤機械器具卸売業については本年、次の8業種が該当するとされている。①化学工業、②生産用機械器具製造業、③輸送用機械器具製造業、④放送業、⑤各種商品卸売業、⑥建築材料、鉱物・金属材料等卸売業、⑦機械器具卸売業、⑧協同組合。
昨年の自主点検結果を取りまとめた上掲「転嫁円滑化施策パッケージに基づく法遵守状況の自主点検の結果について」(2022年12月14日)によると、(i)法遵守に向けた社内管理体制の構築割合、(ii)価格転嫁状況の認識、(iii)問題となるおそれのある行為(転嫁拒否行為)の認識、(iv)毎年9月・3月の価格交渉促進月間を契機とする対応、(v)パートナーシップ構築宣言の認知度・取組姿勢――に係る分析がなされている。適宜参考とされたい。
公取委・中企庁、法遵守状況の自主点検の要請(フォローアップの開始)について
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2023/sep/230920_jisyutenkenfollowup.html