SH4646 タイ:個人情報保護法のデータ保護責任者の選任に係る下位規則の制定(1) 中翔平(2023/10/04)

取引法務個人情報保護法

個人情報保護法のデータ保護責任者の選任に係る下位規則の制定(1)

長島・大野・常松法律事務所

弁護士 中   翔 平

 

 2023年9月14日にデータ保護責任者(以下「DPO」という。)の選任に係る下位規則(以下「本下位規則」という。)が制定された。本下位規則は、同年12月13日に施行される。本下位規則では、DPOの選任要件の内容・判断基準が具体的に規定されており、実務上の重要性が高いと考えられる。本稿ではその概要を述べる。

 

1 DPOとは

 タイの個人情報保護法(以下「PDPA」という。)上、DPOの明確な定義はないものの、DPOはEU一般データ保護規則(以下「GDPR」という。)に規定されているものであり、PDPAが大要GDPRの枠組みを踏襲していることからすると、DPOは、GDPRにおけるそれと実質的に同様の役割を担う者と考えられる。すなわち、DPOとは、データ管理者又はデータ処理者における個人データの保護に関する全ての問題に適切に関与するために、データ管理者又はデータ処理者から独立性が保障されて業務を行う者と考えられる。

 

2 PDPA上のDPOの選任要件

 PDPA上、事業者であるデータ管理者又はデータ処理者は、以下の場合にDPOを選任する義務がある(PDPA第41条第1項)。

⑴ データ管理者又はデータ処理者の個人データの処理業務が、大量の個人データを取り扱うという理由のために、個人データ又はそのシステムの定期的な監視を要する場合

⑵ データ管理者又はデータ処理者の中心的業務がセンシティブデータの処理である場合

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(なか・しょうへい)

2013年に長島・大野・常松法律事務所に入所。プロジェクトファイナンス、不動産取引、 金融レギュレーション及び個人情報保護の分野を中心に国内外の案件に従事。2020年5月 にUniversity of California, Los Angeles School of Lawを卒業後、2020年12月より当事務所 バンコク・オフィスに勤務。現在は、主に、在タイ日系企業の一般企業法務及びM&Aのサ ポートを中心に幅広く法律業務に従事している。

 

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