SH4649 FTCスタッフ・ペーパーにおけるステルスマーケティングからの子ども保護の提言 加納さやか/横田瑛弓(2023/10/06)

取引法務消費者法

FTCスタッフ・ペーパーにおけるステルスマーケティングからの子ども保護の提言

アンダーソン・毛利・友常法律事務所*

弁護士 加 納 さやか

弁護士 横 田 瑛 弓

 

1 はじめに

 米国連邦取引委員会(以下「FTC」という。)は、2023年9月14日、子どもに対するあいまいな広告に対するスタッフ・ペーパー[1]を公表した(以下「本スタッフ・ペーパー」という。)[2]。本スタッフ・ペーパーにおいては、子どもがデジタルメディアの広告により受ける影響や分析とともに、Blurred Advertising(いわゆるステルスマーケティング)により子どもが受けうる影響に対する5つの提言が述べられている。本稿においては、FTCが公表したスタッフ・ペーパーの概要を述べつつ、わが国におけるデジタルメディアの広告についての規制状況について紹介したい。

 

2 ステルスマーケティングとは

 本スタッフ・ペーパーにおいて警鐘が鳴らされているステルスマーケティングとは、わが国においては、「事業者が自己の供給する商品又は役務の取引について行う表示であって、一般消費者が 当該表示であることを判別することが困難であると認められるもの」[3]と定義されるもので、簡単に言えば広告であるにもかかわらず、広告であることが分からないように表示される広告である。

 テレビコマーシャルであれば、番組の途中に流れ番組との見分けがつきにくいケースがまれにあるものの、多くは容易に番組でないこと、すなわち何かの宣伝広告であることが判別できる。しかし、インターネット上の広告についてはどうだろうか。ブログに掲載された商品の評価やSNS等に投稿された商品レビューや口コミについて、それが投稿者個人の任意の投稿なのか、第三者に依頼されてなされたものなのか判別することは非常に難しい。企業からの報酬や依頼の有無の記載があればわかるかもしれないが、そのような記載がない場合、確かめようもない。

 

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(かのう・さやか)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー。2008年東京大学工学部建築学科卒業。2011年東京大学法科大学院卒業。2012年弁護士登録(第二東京弁護士会)。専門は企業法務、eスポーツ/ゲーム、エネルギー。主な業務として企業の買収・合併・分割等のサポートや、企業の取引・規制等に関する助言を行っている。

 

(よこた・えみ)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。2019年慶應義塾大学法学部法律学科卒業。2021年東京大学法科大学院卒業。2022年弁護士登録(第一東京弁護士会)。

 

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/

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