SH5132 米商務省BIS、最先端AIのモデル・大規模コンピューティングクラスタの開発者等に対して、連邦政府への情報提供を義務付ける規則案を発表 藤田将貴/高羽芳彰(2024/10/08)

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米商務省BIS、最先端AIのモデル・大規模コンピューティングクラスタの開発者等に対して、連邦政府への情報提供を義務付ける規則案を発表

アンダーソン・毛利・友常法律事務所*

弁護士 藤 田 将 貴

弁護士 高 羽 芳 彰

 

1 はじめに

 米商務省産業安全保障局(BIS)は、2024年9月11日、最先端AIのモデル・大規模コンピューティングクラスタの開発者等に対して、サイバー攻撃への対策等について連邦政府に情報提供することを義務付ける規則案(以下「本規則案」という。)を公表した[1]

 米国では、2023年10月30日に公布された「AIの安全、安心、信頼できる開発と利用に関する大統領令」[2](以下「AI大統領令」という。)により、米商務省長官を含む連邦政府機関の長官に対し、AI政策に関する実施事項が指示されており、本規則案の公表はAI大統領令に基づく取り組みの一つである。

 本規則案は主として米国の巨大テック企業を念頭に置いた規制であり、日本企業への直接的な影響は限定的と思われるが、AI産業をリードする米国のAI規制は世界におけるAI規制の動向に大きな影響を与え得るものであり、注目に値する。

 そこで、以下では、本規則案の公表に至った経緯に関し、本規則案に関連するAI大統領令の内容と、AI大統領令の指示に基づく米商務省によるこれまでの対応(本規則案に関連したものに限る。)について触れた上で、本規則案について概説する。

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(ふじた・まさき)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー。2003年早稲田大学法学部卒業。2006年京都大学法科大学院修了。2007年弁護士登録(東京弁護士会)。2016年University of California, Berkeley(LL.M.)修了。2017年ニューヨーク州弁護士登録。大手総合商社法務部への出向経験を有する。国内外の経済安全保障・通商、M&A、事業再生分野を中心に取り扱う。主な著書・論文:『英文M&Aドラフティングの基礎』(共著)(金融財政事情研究会、2023)、「米国の経済制裁の基礎知識と実務対応のポイント」(Business Lawyers(ウェブサイト)、2022)、「経済安全保障分野におけるセキュリティ・クリアランス制度を創設する法案の閣議決定」(商事法務ポータル、2024)、「欧州委、経済安全保障を強化するための5つのイニシアチブを公表」(商事法務ポータル、2024)、「米国による懸念国向け半導体関連輸出規制の強化」(商事法務ポータル、2023)、「米財務省 CFIUS2022年次報告書を公表」(商事法務ポータル、2023)、「米財務省、マネーロンダリング防止法および制裁法違反によりバイナンスと合計約43.7億ドルの制裁金支払いで和解」(商事法務ポータル、2023)、「グローバル法務 日本企業が留意すべき個人情報保護、ビジネスと人権、経済安全保障に関する各国の法規制や動向」(共著)会社法務A2Z 2024年2月号ほか多数。

 

(たかば・よしあき)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。2015年慶應義塾大学理工学部卒業。2017年慶應義塾大学大学院理工学研究科修士課程修了。2022年弁護士登録(第一東京弁護士会)。

 

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<事務所概要>
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