ネット販売製品の事故・リコールの課題と対応についての経産省、産業構造審議会保安・消費生活用製品安全分科会 製品安全小委員会における報告
アンダーソン・毛利・友常法律事務所*
弁護士・カリフォルニア州弁護士 井 上 乾 介
弁護士 伊 藤 雄 太
1 はじめに
経済産業省の産業構造審議会保安・消費生活用製品安全分科会 製品安全小委員会(以下「本委員会」という。)は、2023年10月27日に第11回委員会を開催し、①海外からの直接販売等を通じた製品の安全確保、②子ども用製品についての事故の未然防止についての説明および現状の報告、論点提起が行われた。本稿ではその概要を紹介する。
2 背景
消費者を製品事故から守るための規制として、消費生活用製品安全法(以下「消安法」という。)をはじめとするいわゆる「製品安全4法」[1]による事前規制(技術適合義務や販売時のPSマーク)、事後規制(重大製品事故が生じた場合の報告)や、事業者自身による自主規制の取り組みなどが存在する。
出典:「消費生活用製品の安全確保に向けた検討状況」(産業保安グループ 製品安全課、令和5年10月)1頁[2]
これらの法定制度および自主規制は、製品事故から消費者を守るという点で重要な役割を果たしてきたが、この規制がおよびにくいインターネット取引の存在、特に海外の事業者との直接取引が活発化することで、製品安全の確保が難しくなっている。
また、子ども用製品については、誤飲などの危険性が高いことから通常の製品よりも配慮が必要になる一方、上記の事前規制で十分に手当てがなされておらず、もっぱら重大製品事故が報告されてからの事後的な対応となっている。
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(いのうえ・けんすけ)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所 スペシャル・カウンセル。2004年一橋大学法学部卒業。2007年慶応義塾大学法科大学院卒業。2008年弁護士登録(東京弁護士会)。2016年カリフォルニア大学バークレー校・ロースクール(LLM)修了。2017年カリフォルニア州弁護士登録。著作権法をはじめとする知的財産法、個人情報保護法をはじめとする各国データ保護法を専門とする。
(いとう・ゆうた)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。2017年東京大学法学部卒業。2019年東京大学法科大学院卒業。2020年弁護士登録(第一東京弁護士会)。
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/
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