SH4695 G7各国のAI規制最新動向とその背景にある広島AIプロセスを俯瞰する 中崎尚(2023/11/20)

そのほか新領域

G7各国のAI規制最新動向とその背景にある広島AIプロセスを俯瞰する

アンダーソン・毛利・友常法律事務所*

弁護士 中 崎   尚

 

1 広島AIプロセスとは

 広島AIプロセスとは、2023年5月に閉幕したG7広島サミットの首脳宣言において創設することで合意をみた、生成AIの活用や開発、規制に関する国際的なルール作りを推進するために、G7の関係閣僚が中心となり議論を行うための新たな枠組みである。日本は議長国として、さまざまなステークホルダーとの協力を通じて、2023年内にG7における生成AIに関する共通の見解を取りまとめるべく、図表1のスケジュールでプロセスを進めている。この取組みの背景には、中国を含めた世界各国で生成AIの開発・活用が急速に進展するなか、G7が国際的なルール形成の主導権を握りたいという狙いがあると指摘されている。

図表1 広島AIプロセスのスケジュール[1]

 

2 「G7広島AIプロセスG7デジタル・技術閣僚声明」

 2023年9月7日に開催されたG7広島AIプロセス閣僚級会合において、G7広島AIプロセスの中間的な成果として、「G7広島AIプロセスG7デジタル・技術閣僚声明」[2]が採択された。その主な内容は以下のとおりである。

① OECDレポートに基づく優先的な課題、リスクおよび機会に関する理解の確認

 G7共通の優先的な課題・リスクとして、透明性、偽情報、知的財産権、プライバシーと個人情報保護、公正性、セキュリティと安全性等を例示した。また、機会として、生産性向上、イノベーション促進、ヘルスケア改善、気候危機の解決への貢献等を例示した。

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(なかざき・たかし)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所スペシャルカウンセル。東京大学法学部卒、2001年弁護士登録(54期)、2008年米国Columbia University School of Law (LL.M.)修了、2009年夏まで米国ワシントンD.C.のArnold & Porter法律事務所に勤務。復帰後は、インターネット・IT・システム関連を中心に、知的財産権法、クロスボーダー取引を幅広く取扱う。日本国際知的財産保護協会編集委員、経産省おもてなしプラットフォーム研究会委員、経産省AI社会実装アーキテクチャー検討会作業部会構成員、経産省IoTデータ流通促進研究会委員、経産省AI・データの利用に関する契約ガイドライン検討会委員、International Association of Privacy Professionals (IAPP) Co-Chairを歴任。2022年より内閣府メタバース官民連携会議委員。

 

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