SH4715 欧州議会、データ法を採択〔コネクテッド製品等の使用を通じて生成されたデータへのアクセスを円滑化する。今後、EU理事会の承認後に成立〕 井上乾介/藤井駿太郎/石瀛(2023/11/30)

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欧州議会、データ法を採択〔コネクテッド製品等の使用を通じて生成されたデータへのアクセスを円滑化する。今後、EU理事会の承認後に成立〕

アンダーソン・毛利・友常法律事務所*

弁護士・カリフォルニア州弁護士 井 上 乾 介

弁護士 藤 井 駿太郎

中国弁護士・ニューサウスウェールズ州弁護士 石     瀛

 

1 はじめに

 2023年11月9日、欧州議会は賛成481票、反対31票(棄権71票)にてRegulation on harmonised rules on fair access to and use of data(以下「データ法」という。)を採択した[1]。同法は欧州連合(以下「EU」という。)理事会の承認20日後に正式に成立し、成立20カ月後に発効することが予想される[2]

 データ法は、IoT製品やIoTサービスの提供事業者が、利用者の使用から発生するデータを独占し、派生的にこれらの修理も独占している現状に対し、「利用者が自らの利用によって発生するデータに何らの権利を持たないのは不公平である」との問題意識から、GDPRが保護する個人データとは別に非個人データに適用されるEU域内の統一ルールを定めるものである[3]

 データ法は、EUが推進する「欧州データ戦略」[4]の一部であり、欧州経済と社会に利益をもたらすために、爆発的に増加し続けている産業データを活用し、欧州をデータ経済におけるリーダーにすることを主たる目的としている。本稿では、主にIoT関係企業と利用者にかかわるビジネス関連の規定に焦点を当て、データ法を概観する。

出典:欧州議会ホームページ

 

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(いのうえ・けんすけ)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所 スペシャル・カウンセル。2004年一橋大学法学部卒業。2007年慶応義塾大学法科大学院卒業。2008年弁護士登録(東京弁護士会)。2016年カリフォルニア大学バークレー校・ロースクール(LLM)修了。2017年カリフォルニア州弁護士登録。著作権法をはじめとする知的財産法、個人情報保護法をはじめとする各国データ保護法を専門とする。

 

(ふじい・しゅんたろう)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所名古屋オフィスアソシエイト。2013年中央大学法学部卒業。2015年東京大学法科大学院卒業。2016年弁護士登録(2019年より愛知県弁護士会)。主な業務分野は、IT、個人情報保護法など。

 

(せき・いん)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。2019年オーストラリアニューサウスウェールズ大学法学部卒業。2019年ニューサウスウェールズ州事務弁護士登録。2021年中国弁護士登録。

 

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