SH5368 下請法および下請振興法の改正法案――価格転嫁の適正化に向けた制度改正の概要 原悦子/西向美由(2025/03/24)

取引法務競争法(独禁法)・下請法

下請法および下請振興法の改正法案
――価格転嫁の適正化に向けた制度改正の概要――

アンダーソン・毛利・友常法律事務所*

弁護士 原   悦 子

弁護士 西 向 美 由

 

1 はじめに

 2025年3月11日、下請代金支払遅延等防止法及び下請中小企業振興法の一部を改正する法律案(以下「本改正案」という。)が閣議決定され、国会へ提出された。

 本改正案は、近年の急激な労務費、原材料費、エネルギーコストの上昇を受け、発注者・受注者の対等な関係に基づき、サプライチェーン全体で適切な価格転嫁を定着させる「構造的な価格転嫁」の実現を図ることを目的とするものである。

 本改正案は、公正取引委員会および中小企業庁が2024年12月25日に公表した「企業取引研究会報告書」[1]の中で、企業取引研究会が取り纏めた現状の課題およびその対応策を踏まえたものである。

 以下、本改正案による下請代金支払遅延等防止法(以下「下請法」という。)および下請中小企業振興法(以下「下請振興法」という。)の主な改正事項および実務への影響について概説する。

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(はら・えつこ)


アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー。1998年東京大学法学部卒業。2001年弁護士登録(第二東京弁護士会)。2006年コロンビア大学ロースクール(LL.M.)修了。2007年ニューヨーク州弁護士登録。2019年~2022年東京大学大学院法学政治学研究科准教授。独禁法の分野において、独禁調査案件、企業結合届出の対応に幅広い経験を有するほか、クロスボーダーでの事業展開、フランチャイズ、戦略的提携に関する案件、通商業務も多く取り扱う。

 

(にしむかい・みゆ)


アンダーソン・毛利・友常法律事務所シニア・アソシエイト。2008年京都大学法学部卒業。2010年東京大学法科大学院卒業。2011年弁護士登録(第二東京弁護士会)。2018年3月-8月・ベルギー ブリュッセルのMcDermott Will & Emery法律事務所勤務。

 

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/

<事務所概要>
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* 「アンダーソン・毛利・友常法律事務所」は、アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業および弁護士法人アンダーソン・毛利・友常法律事務所を含むグループの総称として使用

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