SH4772 最新実務:スポーツビジネスと企業法務 ESG経営・SDGsとスポーツビジネス(下) 加藤志郎(2024/01/17)

組織法務経営・コーポレートガバナンスサステナビリティ

最新実務:スポーツビジネスと企業法務
ESG経営・SDGsとスポーツビジネス(下)

長島・大野・常松法律事務所

弁護士 加 藤 志 郎

 

(承前)

4 環境問題に関するスポンサーシップ・パートナーシップの実例

⑴ 環境問題の影響を受けやすいスポーツ

 気温上昇による開催の可否や場所・時間の変更が度々議論となる夏季の屋外スポーツや、一部の地域における積雪の減少が問題となっているスノースポーツ等、環境問題の影響を直接に受けるスポーツにおいては、踏み込んだスポンサーシップ・パートナーシップに取り組む例が多い。

 たとえば、資生堂は、気候変動による波の変化や海洋汚染の影響を大きく受けるサーフィンに関して、世界プロサーフィン連盟のWorld Surf Leagueと、同リーグ関連の非営利団体であり海洋保護の推進や啓発活動を行うWSL PUREと協同で、2019年に“SHISEIDO BLUE PROJECT”を立ち上げている。同プロジェクトにおいては、サーフィンの大会への協賛のほか、ビーチの清掃活動や植樹活動のサポート、海洋環境への影響が少ない日焼け止めの研究開発等の取組みがなされている。また、資生堂は、あわせて、同プロジェクトのアンバサダーとしてプロサーファーの五十嵐カノア選手を起用するなどして、積極的に対外発信も行っている。資生堂が商品展開する日焼け止め製品はサーフィンにおいて必須であり、また、海洋環境にも影響を与えるものであることからも、極めて効果的でauthenticなパートナーシップと言えるだろう。

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(かとう・しろう)

弁護士(日本・カリフォルニア州)。スポーツエージェント、スポンサーシップその他のスポーツビジネス全般、スポーツ仲裁裁判所(CAS)での代理を含む紛争・不祥事調査等、スポーツ法務を広く取り扱う。その他の取扱分野は、ファイナンス、不動産投資等、企業法務全般。

2011年に長島・大野・常松法律事務所に入所、2017年に米国UCLAにてLL.M.を取得、2017年~2018年にロサンゼルスのスポーツエージェンシーにて勤務。日本スポーツ仲裁機構仲裁人・調停人候補者、日本プロ野球選手会公認選手代理人。

 

長島・大野・常松法律事務所 http://www.noandt.com/

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