SH4796 「医療用医薬品の流通改善に向けて流通関係者が遵守すべきガイドライン」 改訂案に関する意見募集 加納さやか/横田瑛弓(2024/02/02)

取引法務業法・規制法対応

「医療用医薬品の流通改善に向けて流通関係者が遵守すべき
ガイドライン」改訂案に関する意見募集

アンダーソン・毛利・友常法律事務所*

弁護士 加 納 さやか

弁護士 横 田 瑛 弓

 

1 はじめに

 令和6年1月15日、厚生労働省より、「医療用医薬品の流通改善に向けて流通関係者が遵守すべきガイドライン」(以下「流通改善ガイドライン」という。)の改訂案(以下「改訂案」という。)に関する意見の募集[1]がなされた。「医療用医薬品の流通改善に向けて流通関係者が遵守すべきガイドライン」は初版が平成30年1月23日に策定されたのち、令和3年11月30日に改訂が行われたところ、今回の改訂案は、令和4年9月より、13回に渡り開催された「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」により令和5年6月に提出された報告書[2]をふまえ作成されたものである。

 本稿においては、流通改善ガイドラインの概要を紹介したうえで、流通改善ガイドライン改訂案[3]の概要を紹介することを考えている。

 

2 流通改善ガイドラインの概要

⑴ 医療用医薬品[4]流通に存在する課題

 医療用医薬品は、下図のとおり、製造販売業者である医薬品メーカーから卸売業者、卸売業者から医療機関または薬局に販売され、医療機関または薬局から患者に処方される流れをたどる。特徴的なのは、世の中に流通している通常の商品とは異なって、医療機関等から患者に請求される医療用医薬品[5]の価格は、「薬価」という公定価格があらかじめ決められていることである。医療用医薬品に関しては、薬価制度[6]のもと、患者に対し請求することができる薬剤の請求額が決められており、他方で、それ以前、すなわち医療機関までの流通過程においては自由な価格設定が認められている。したがって、医療機関の利益は、①薬価と納入価[7]の差であり、卸売業者の利益は、②納入価と仕入価[8]および販管費の差、メーカーの利益は③仕入価と製造費等の差となるわけであり、②と③については医薬品業界における特殊な点はない。しかし、最終価格となる薬価に関しては公定されていることから、いくつかの医薬品がまとめて購入される(総価取引)、価格が決定されないまま納入される(未妥結・仮納入)といった慣行が存在しているのである[9]。薬価基準制度の下、透明な市場実勢これらの取引慣行の存在は、価格の形成に努めなくてはならない医薬品業界において、適正な市場実勢価格の反映がなされない等の理由により従前より問題視[10]されてきた。

出典:「医薬品の流通改善について」(厚生労働省 平成22年7月28日)[11] 1頁

 

 そこで流通改善ガイドラインは、流通改善の必要性として、未妥結・仮納入および総価取引の改善[12]を取り上げ、医療用医薬品の流通にかかわる、医薬品メーカー、卸売業者、医療機関、保険薬局を対象とし、各々が遵守すべき事項について定めている。

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(かのう・さやか)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー。2008年東京大学工学部建築学科卒業。2011年東京大学法科大学院卒業。2012年弁護士登録(第二東京弁護士会)。専門は企業法務、eスポーツ/ゲーム、エネルギー。主な業務として企業の買収・合併・分割等のサポートや、企業の取引・規制等に関する助言を行っている。

 

(よこた・えみ)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。2019年慶應義塾大学法学部法律学科卒業。2021年東京大学法科大学院卒業。2022年弁護士登録(第一東京弁護士会)。

 

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