インド:インド最高裁――印紙税未払の場合に
仲裁合意を無効とする判決を変更
長島・大野・常松法律事務所
弁護士 梶 原 啓
仲裁法分野のインド最高裁判決に興味深い展開が見られる。2023年4月にインドの最高裁判所は、5名の判事のうち3名の多数意見判決により、印紙税未払の場合の仲裁合意の効力を否定した。しかしながら、1年を待たず、同じ最高裁判所によってこの判決は覆された。
2023年12月13日、今回は前回を上回る7名の最高裁判事からなる合議体が全会一致で、仲裁合意を含む契約本体について印紙税の支払がなされていない又は不足する場合でも当該契約は当然に無効になるものではないとの判決を出した(以下「本判決」という)[1]。
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[1] In Re: Interplay Between Arbitration Agreements Under the Arbitration and Conciliation Act 1996 and the Indian Stamp Act 1899, Curative Petition (C) No. 44 of 2023.
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(かじわら・けい)
国際商事仲裁及び投資協定仲裁をはじめとする国際紛争解決を扱う。日本国内訴訟にも深く関与してきた経験をいかし、アジアその他の地域に展開する日系企業と協働して費用対効果に優れた複雑商事紛争処理に尽力する。2013年弁護士登録(第一東京弁護士会)、長島・大野・常松法律事務所入所。2019年ニューヨーク大学ロースクール修了(LL.M. in International Business Regulation, Litigation and Arbitration; Hauser Global Scholar)。Jenner & Block LLPでの勤務を経て、2021年1月から長島・大野・常松法律事務所シンガポール・オフィスにおいて勤務開始。
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