SH4468 ベトナム:個人データ保護政令に基づく影響評価書類の作成方法 澤山啓伍(2023/06/02)

取引法務個人情報保護法

ベトナム:個人データ保護政令に基づく影響評価書類の作成方法

長島・大野・常松法律事務所

弁護士 澤 山 啓 伍

 

 個人データ保護に関する政令第13/2023/ND-CP号(以下「政令13号」)が2023年4月17日に成立し、7月1日に施行される。その概要については、すでに「SH4459 ベトナム:個人データ保護に関する政令(上) 中川幹久(2023/05/29)」「SH4461  ベトナム:個人データ保護に関する政令(下) 中川幹久(2023/05/30)」で紹介しているところ、本稿では、多くの在ベトナム日系企業においても7月1日までに作成が求められている「個人データ処理影響評価書類」及び「越境移転影響評価書類」について、もう少し深堀して解説する。

 

1 個人データ処理影響評価書類

 個人データ処理影響評価書類は、個人データの管理者等が、個人データの処理を開始する時点以降作成・保管し(24条1項)、かつ、個人データの処理の開始から60日以内に管轄当局に提出することが求められている書類である(24条4項)。EUの一般データ保護規則(GDPR)にあるデータ保護影響評価に近いものであるように見受けられるが、GDPRにおけるそれがデータ処理のリスクが高い場合にのみ必要とされるものであるのに対して、政令13号では特にそのような限定はなく、個人データの管理者及び管理者兼処理者、並びに管理者との間で契約を締結した処理者に個人データ処理影響評価書類の作成を求めている(24条1項、24条2項)。したがって、従業員の個人データのみを管理しているような在ベトナム日系企業であっても、この対象に含まれてしまうことになる。

 政令13号によれば、個人データ処理影響評価書類には、以下の内容が含まれる必要がある

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(さわやま・けいご)

2004年 東京大学法学部卒業。 2005年 弁護士登録(第一東京弁護士会)。 2011年 Harvard Law School卒業(LL.M.)。 2011年~2014年3月 アレンズ法律事務所ハノイオフィスに出向。 2014年5月~2015年3月 長島・大野・常松法律事務所 シンガポール・オフィス勤務 2015年4月~ 長島・大野・常松法律事務所ハノイ・オフィス代表。

現在はベトナム・ハノイを拠点とし、ベトナム・フィリピンを中心とする東南アジア各国への日系企業の事業進出や現地企業の買収、既進出企業の現地でのオペレーションに伴う法務アドバイスを行っている。

 

長島・大野・常松法律事務所 http://www.noandt.com/

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