SH4929 中国:会社董事による競業行為や利益相反取引も刑事犯罪に(下)――中国刑法第十二次改正 若江悠(2024/05/17)

組織法務役員責任・会社訴訟

中国:会社董事による競業行為や利益相反取引も刑事犯罪に(下)
――中国刑法第十二次改正――

長島・大野・常松法律事務所

弁護士 若 江   悠

 

(承前)

3 刑法改正の内容

⑴ 競業禁止(同類営業不法経営罪)

 改正後中国会社法183条では、董事、監事及び高級管理職は、同条各号に定める場合を除き、職務上の便宜を利用して、自己又は他人のために会社に属する商業機会を獲得してはならない、同法184条では、董事、監事及び高級管理職は、董事会又は株主会に報告した上、会社定款の規定に従って董事会又は株主会の決議を経ることなく、自ら又は他人のために会社と同類の業務を経営してはならないと定めている(現行会社法148条1項5号と基本的に同趣旨である。)。

 上記規定に対応して、改正後刑法165条では、上記同類営業行為により不法な利益を取得した場合で、その金額が「巨額である場合」や「特に巨額である場合」に限って、刑事罰の対象としている(なお、金額基準については以前の司法解釈において立件起訴基準が定められていたが、新法に対応した基準はまだ定められていない。)。

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(わかえ・ゆう)

長島・大野・常松法律事務所パートナー。2002年 東京大学法学部卒業、2009年 Harvard Law School卒業(LL.M.、Concentration in International Finance)。2009年から2010年まで、Masuda International(New York)(現 NO&Tニューヨーク・オフィス)に勤務し、2010年から2012年までは、当事務所提携先である中倫律師事務所(北京)に勤務。 現在はNO&T東京オフィスでM&A及び一般企業法務を中心とする中国業務全般を担当するほか、日本国内外のキャピタルマーケッツ及び証券化取引も取り扱う。上海オフィス首席代表を務める。

 

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長島・大野・常松法律事務所は、約500名の弁護士が所属する日本有数の総合法律事務所です。企業法務におけるあらゆる分野のリーガルサービスをワンストップで提供し、国内案件及び国際案件の双方に豊富な経験と実績を有しています。

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