SH4942 米国・AIの安全、安心、信頼できる開発と利用に関する大統領令に基づく各政府機関によるアクションの概要 中崎尚(2024/05/23)

そのほか新領域

米国・AIの安全、安心、信頼できる開発と利用に関する
大統領令に基づく各政府機関によるアクションの概要

アンダーソン・毛利・友常法律事務所*

弁護士 中 崎   尚

 

1 はじめに

 2024年4月29日、米国ホワイトハウスは、”Biden-⁠Harris Administration Announces Key AI Actions 180 Days Following President Biden’s Landmark Executive Order”と題する記事を公開した[1]

 これは、6カ月前に発令された、「AIの安全、安心、信頼できる開発と利用に関する大統領令」(Executive Order on the Safe, Secure, and Trustworthy Development and Use of Artificial Intelligence、以下「EO」という。)[2]について、各政府機関が報告したアクションをまとめたものである。本記事では、各政府機関によるアクションの概要を紹介する。

 

2 安全性とセキュリティ管理に関するアクション

 DHS(Department of Homeland Security、国土安全保障省)、DOE(Department of Energy、米国エネルギー省)、OSTP(Office of Science and Technology Policy、大統領府科学技術政策局)が行った、危険な生体材料の工学的応用におけるAIの悪用に関する研究など、5つの事例を示している。

 

  1. ① 核酸合成スクリーニングの枠組みを確立し、危険な生物学的物質の工学へのAIの悪用を防止する。この作業は、国土安全保障省(DHS)、エネルギー省(DOE)、科学技術政策局による、AIが悪用される可能性に関する詳細な研究、および化学的・生物学的脅威を悪化させるAIの悪用に対する緩和策を勧告したDHSの報告書を補完するものである。これと並行して、商務省は民間セクターを巻き込み、実施を促進するための技術ガイダンスの策定に取り組んできた。この枠組みが発表された180日後から、各省庁は助成金交付機関に対して、スクリーニングを行う業者から合成核酸を入手することを義務付ける。
  2.  

  3. この記事はプレミアム向け有料記事です
    続きはログインしてご覧ください

    (なかざき・たかし)

    アンダーソン・毛利・友常法律事務所スペシャルカウンセル。東京大学法学部卒、2001年弁護士登録(54期)、2008年米国Columbia University School of Law (LL.M.)修了、2009年夏まで米国ワシントンD.C.のArnold & Porter法律事務所に勤務。復帰後は、インターネット・IT・システム関連を中心に、知的財産権法、クロスボーダー取引を幅広く取扱う。日本国際知的財産保護協会編集委員、経産省おもてなしプラットフォーム研究会委員、経産省AI社会実装アーキテクチャー検討会作業部会構成員、経産省IoTデータ流通促進研究会委員、経産省AI・データの利用に関する契約ガイドライン検討会委員、International Association of Privacy Professionals (IAPP) Co-Chairを歴任。2022年より内閣府メタバース官民連携会議委員。

     

    アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/

    <事務所概要>
    アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業は、日本における本格的国際法律事務所の草分け的存在からスタートして現在に至る、総合法律事務所である。コーポレート・M&A、ファイナンス、キャピタル・マーケッツ、知的財産、労働、紛争解決、事業再生等、企業活動に関連するあらゆる分野に関して、豊富な実績を有する数多くの専門家を擁している。国内では東京、大阪、名古屋に拠点を有し、海外では北京、上海、香港、シンガポール、ホーチミン、バンコク、ジャカルタ等のアジア諸国に拠点を有する。

    <連絡先>
    〒100-8136 東京都千代田区大手町1-1-1 大手町パークビルディング


    * 「アンダーソン・毛利・友常法律事務所」は、アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業および弁護士法人アンダーソン・毛利・友常法律事務所を含むグループの総称として使用

タイトルとURLをコピーしました