マレーシア:ビジネス・トラストの制度とその発展
長島・大野・常松法律事務所
弁護士 松 本 岳 人
1 ビジネス・トラストの法規制及び仕組み
マレーシアでのビジネス・トラストの制度は、資本市場・サービス法(Capital Markets and Services Act 2007。以下「CMSA」という。)の改正によって導入され、マレーシア証券委員会(Securities Commission Malaysia)が2012年に発行したビジネス・トラストガイドライン(Business Trusts Guidelines)にその詳細が規定されている。
基本的な仕組みは、シンガポールのビジネス・トラストに類似しており、ユニットトラストの一種として登録制度も設けられている。また、ビジネス・トラストの事業の運営をトラスト・マネジャーに委託するといった制度も同様であり、トラスト・マネジャーはCMSAに従ったライセンスの取得が求められている。
ビジネス・トラストが行う事業や組み入れられる資産について特段の制限はなく、また、マレーシア証券取引所(Bursa Malaysia)にユニットを上場する仕組みも設けられている。もっとも、ビジネス・トラストガイドラインにはイスラム金融としてシャリア適格を有するイスラムビジネス・トラストの制度も規定されているといったマレーシアの特色もある。
この記事はプレミアム向け有料記事です
続きはログインしてご覧ください
(まつもと・たけひと)
2005年慶應義塾大学法学部法律学科卒業。2007年慶應義塾大学大学院法務研究科修了。2008年に長島・大野・常松法律事務所に入所後、官庁及び民間企業への出向並びに米国留学を経て、2017年から2020年まで長島・大野・常松法律事務所シンガポール・オフィス勤務。現在は、日本及び東南アジア地域での不動産・インフラ関係の案件を中心に企業法務全般についてアドバイスを行っている。
長島・大野・常松法律事務所 http://www.noandt.com/
長島・大野・常松法律事務所は、約500名の弁護士が所属する日本有数の総合法律事務所です。企業法務におけるあらゆる分野のリーガルサービスをワンストップで提供し、国内案件及び国際案件の双方に豊富な経験と実績を有しています。
当事務所は、東京、ニューヨーク、シンガポール、バンコク、ホーチミン、ハノイ、ジャカルタ及び上海に拠点を構えています。また、東京オフィス内には、日本企業によるアジア地域への進出や業務展開を支援する「アジアプラクティスグループ(APG)」及び「中国プラクティスグループ(CPG)」が組織されています。当事務所は、国内外の拠点で執務する弁護士が緊密な連携を図り、更に現地の有力な法律事務所との提携及び協力関係も活かして、特定の国・地域に限定されない総合的なリーガルサービスを提供しています。
詳しくは、こちらをご覧ください。