太陽光パネルの廃棄・リサイクル制度に係る議論状況について
アンダーソン・毛利・友常法律事務所*
弁護士 大 槻 由 昭
弁護士 福 田 祥 子
1 はじめに
所定の使用期間が経過した太陽光パネルの解体手法や分別した素材の再利用については、技術的には確立されつつあるものの、現行法では、後述のとおり、廃棄する太陽光パネルに対して、リサイクル[1]や再資源化[2]は義務付けられていない。使用済みの太陽光パネルは、いわゆる「排出者責任」の考え方により、廃棄物処理法に基づいて排出者の責任で適正処理されることになっているが、現実には、分解・リサイクルは進んでいないとの指摘がされている[3]。一方で、今後想定される使用済み太陽光パネルの大量廃棄時代に備え、リサイクル・再資源化する必要性が議論されている[4]。
上記のような状況を踏まえて、経済産業省および環境省のワーキンググループ[5]による、太陽光発電設備のリサイクル義務化等に係る制度化の議論が進んでいる[6]。本稿では、太陽光パネルの廃棄・リサイクルに関する現行の法規制の概要を整理しつつ、直近の政府内の議論状況について概説する。なお、紙面の都合上、本稿ではいわゆるメガソーラー(出力が1メガワットを超えるもの)のみを検討の対象とする。
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(おおつき・よしあき)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所 スペシャルカウンセル。2004年東京大学法学部卒業。同年弁護士登録(第一東京弁護士会)。2011年 南カリフォルニア大学(USC)・ロースクール(LL.M.)修了。2012年 ニューヨーク州弁護士登録。主に資源エネルギー分野を中心に取り扱っており、とりわけ、外資系の鉱山会社による日本での鉱業権(試掘権及び採掘権)の取得案件や、それに関連するM&A取引等の案件を多く取り扱っている。また、LNG(液化天然ガス)を海外から調達する取引をはじめ、電力ガス会社が関与するM&A取引等についても有数の実績を有する。独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の案件等に多く関与しており、資源の上流開発案件についての知見を多く有している。
(ふくだ・さきこ)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所 アソシエイト。2017年東京大学法学部卒業。2020年東京大学法科大学院卒業。2022年弁護士登録(第一東京弁護士会)。証券会社に出向後、2024年7月に事務所に復帰。資源エネルギー分野、ファイナンス分野、コーポレート分野及びM&Aに係る案件などに携わった経験がある。
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/
<事務所概要>
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業は、日本における本格的国際法律事務所の草分け的存在からスタートして現在に至る、総合法律事務所である。コーポレート・M&A、ファイナンス、キャピタル・マーケッツ、知的財産、労働、紛争解決、事業再生等、企業活動に関連するあらゆる分野に関して、豊富な実績を有する数多くの専門家を擁している。国内では東京、大阪、名古屋に拠点を有し、海外では北京、上海、香港、シンガポール、ハノイ、ホーチミン、バンコク、ジャカルタ等のアジア諸国およびロンドン、ブリュッセルに拠点を有する。
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