欧州連合(EU)においてサイバーレジリエンス法が発効
アンダーソン・毛利・友常法律事務所*
弁護士・ニューヨーク州弁護士 後 藤 未 来
ニューサウスウェールズ州弁護士・上海オフィス顧問 石 瀛
1 はじめに
2024年12月10日、欧州連合(EU)においてサイバーレジリエンス法(Cyber Resilience Act (Regulation (EU) 2024/2847)、以下「CRA」という。)が発効した[1]。CRAは、デジタル要素を含む製品のサイバーセキュリティ要件を強化し、EU市場における製品の安全性と信頼性を向上させることを目的とし、関係する製造者等に対する各種義務や罰則等を規定する。
CRA[2]により、製造者や輸入者には、①製品の設計・開発におけるセキュリティ要件の確保、②製品が市場に投入される前の適合性評価手続の実施、③適切な技術文書、EU適合宣言書の作成、製品におけるCEマークの表示、④製品の上市後にセキュリティ要件に関する対応と重大なサイバーセキュリティインシデント時に24時間以内に当局に報告すること等が義務付けられている。
なお、CRAにおける各種の規定は、内容に応じて段階的に発効・適用される仕組み[3]となっている。その主要なスケジュールを纏めると下表のようになる。
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(ごとう・みき)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー、弁護士・ニューヨーク州弁護士。理学・工学のバックグラウンドを有し、知的財産や各種テクノロジー(IT、データ、エレクトロニクス、ヘルスケア等)、ゲーム等のエンタテインメントに関わる案件を幅広く取り扱っている。ALB Asia Super 50 TMT Lawyers(2021、2022)、Chambers Global(IP分野)ほか選出多数。AIPPIトレードシークレット常設委員会副議長、日本ライセンス協会理事。
(せき・いん)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。2019年オーストラリアニューサウスウェールズ大学法学部卒業。2019年ニューサウスウェールズ州事務弁護士登録。2020年中国法律職業資格取得。
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/
<事務所概要>
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