「営業秘密管理指針」の改訂(2025年3月31日)に係る背景と議論
アンダーソン・毛利・友常法律事務所*
弁護士・弁理士 後 藤 未 来
弁護士 金 井 友 樹
1 はじめに
2024年4月1日、改正不正競争防止法(以下「本改正法」という。)が施行された。本改正法の内容は、デジタル空間における模倣行為の防止、営業秘密・限定提供データの保護の強化等多岐にわたっており、経済産業省は、その内容についての周知・啓発活動に取り組んできた[1]。
以上の背景のもと、2024年12月16日には、産業構造審議会知的財産分科会不正競争防止小委員会(第26回)(以下「本委員会」という。)が開催され[2]、「不正競争防止法をめぐる状況」、および「『営業秘密管理指針』の改定方針」の2点について議論された。
2点目の「営業秘密管理指針」については、その後、その改定案である「営業秘密管理指針(案)」[3]が公表され、パブリックコメントを経て、2025年3月31日に「営業秘密管理指針」が公表された[4]。
この最新の改訂版「営業秘密管理指針」の理解に資する観点から、本稿では、本委員会の上記議論の内容を概観する。
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(ごとう・みき)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー、弁護士・ニューヨーク州弁護士。理学・工学のバックグラウンドを有し、知的財産や各種テクノロジー(IT、データ、エレクトロニクス、ヘルスケア等)、ゲーム等のエンタテインメントに関わる案件を幅広く取り扱っている。ALB Asia Super 50 TMT Lawyers(2021、2022)、Chambers Global(IP分野)ほか選出多数。AIPPIトレードシークレット常設委員会副議長、日本ライセンス協会理事。
(かない・ともき)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。2022年一橋大学法学部卒業。2023年弁護士登録(第二東京弁護士会)。
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/
<事務所概要>
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業は、日本における本格的国際法律事務所の草分け的存在からスタートして現在に至る、総合法律事務所である。コーポレート・M&A、ファイナンス、キャピタル・マーケッツ、知的財産、労働、紛争解決、事業再生等、企業活動に関連するあらゆる分野に関して、豊富な実績を有する数多くの専門家を擁している。国内では東京、大阪、名古屋に拠点を有し、海外では北京、上海、香港、シンガポール、ハノイ、ホーチミン、バンコク、ジャカルタ等のアジア諸国およびロンドン、ブリュッセルに拠点を有する。
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* 「アンダーソン・毛利・友常法律事務所」は、アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業および弁護士法人アンダーソン・毛利・友常法律事務所を含むグループの総称として使用