EU理事会・欧州議会、欧州委員会による炭素国境調整メカニズム(CBAM)の実施規則に暫定合意
アンダーソン・毛利・友常法律事務所*
弁護士 宮 川 賢 司
弁護士 香 川 遼太郎
弁護士 新 庄 絢
1 はじめに
EU理事会と欧州議会は、2025年6月18日、炭素国境調整メカニズム(CBAM:Carbon Border Adjustment Mechanism)規則を簡素化すること(以下「CBAM簡素化案」という。)について、暫定的な合意に達した[1]。
2025年1月の第二次トランプ政権誕生を踏まえて、世界全体の脱炭素の潮流については化石燃料重視派からの揺り戻しが起こっているとみることができ、今回のCBAM簡素化案もこのような揺り戻しの一環と評価することもできる。今般のCBAM簡素化案により気候変動対策強化と過度の企業負担軽減(特に中小企業への負担軽減)の両立を図ることができつつあるといえるが、2025年6月19日に公表された日本経済団体連合会(以下「経団連」という。)環境委員会による「CBAM導入に懸念を示す提言」指摘のとおり、CBAM簡素化案を踏まえてもCBAM全体についてWTOルールに基づく競争条件の公平性確保等の問題点が払しょくされたわけではない。
そこで、本稿では、CBAM簡素化案および上記経団連提言の概要を紹介するとともに、CBAM簡素化案を踏まえたCBAM規則の日本企業への影響につき検討する[2]。
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(みやがわ けんじ)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所スペシャル・カウンセル弁護士。1997年慶應義塾大学法学部卒業。2000年弁護士登録(第二東京弁護士会)。2004年ロンドン大学(University College London)ロースクール(LL.M.)修了。2019年から慶應義塾大学非常勤講師(Legal Presentation and Negotiation)。国内外の金融取引、不動産取引、気候変動関連法務および電子署名等のデジタルトランスフォーメーション関連法務を専門とする。
(かがわ・りょうたろう)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。早稲田大学法学部卒業。2022年弁護士登録(東京弁護士会)。執筆として「非化石証書の制度と実務」(NBL2023年11月1日号)等。
(しんじょう・あや)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。2020年慶應義塾大学法学部卒業。2022年東京大学法科大学院修了。2023年弁護士登録(第二東京弁護士会)。
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/
<事務所概要>
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業は、日本における本格的国際法律事務所の草分け的存在からスタートして現在に至る、総合法律事務所である。コーポレート・M&A、ファイナンス、キャピタル・マーケッツ、知的財産、労働、紛争解決、事業再生等、企業活動に関連するあらゆる分野に関して、豊富な実績を有する数多くの専門家を擁している。国内では東京、大阪、名古屋に拠点を有し、海外では北京、上海、香港、シンガポール、ハノイ、ホーチミン、バンコク、ジャカルタ等のアジア諸国およびロンドン、ブリュッセルに拠点を有する。
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