SH4289 タイ:個人情報保護法の個人データの侵害に係る下位規則の制定(1) 中翔平(2023/01/26)

取引法務個人情報保護法

タイ:個人情報保護法の個人データの侵害に係る下位規則の制定(1)

長島・大野・常松法律事務所

弁護士 中   翔 平

 

 タイの個人情報保護法(以下「個人情報保護法」という。)は2022年6月1日に完全施行されたが、下位規則については段階的に公表・施行されているところである。その一環として、2022年12月15日に個人データの侵害に係る下位規則(以下「本下位規則」という。)が制定・施行された。本下位規則では、個人データの侵害が発生した場合における具体的な手続きが定められており、会社の個人データの管理に関する安全管理措置体制に影響を与えるものであるため、実務上の重要性が高いと考えられる。本稿ではその概要を述べる。

 

1 個人情報保護法上の規制の枠組み

 個人情報保護法上、個人データの侵害があった場合には、データ管理者はその侵害の程度に応じて以下の措置を執ることが求められる(個人情報保護法第37条第4号)。

 ⑴ 個人情報保護委員会への通知義務

 データ管理者は、個人データの侵害を認識した後、遅滞なく(実行可能であれば、72時間以内に)個人情報保護委員会に対し、その旨を通知する義務を負う。但し、当該侵害がデータ主体の権利・自由に対するリスクを生じさせる可能性が低い場合にはこの限りではない。

 ⑵ データ主体への通知義務

 データ管理者は、個人データの侵害がデータ主体の権利・自由に対して高度のリスクを生じさせる可能性がある場合には、遅滞なくデータ主体に対し、その旨及び是正措置を通知する必要がある。

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(なか・しょうへい)

2013年に長島・大野・常松法律事務所に入所。プロジェクトファイナンス、不動産取引、 金融レギュレーション及び個人情報保護の分野を中心に国内外の案件に従事。2020年5月 にUniversity of California, Los Angeles School of Lawを卒業後、2020年12月より当事務所 バンコク・オフィスに勤務。現在は、主に、在タイ日系企業の一般企業法務及びM&Aのサ ポートを中心に幅広く法律業務に従事している。

 

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