ペルーにおける主な法人形態
西村あさひ法律事務所
弁護士 森 本 大 介
1 はじめに
本稿においては、日本企業がペルーにおいて事業を行う場合の主たる形態である合同会社(Sodiedad Comercial de Responsabilidad Limitada:S.R.L.)、株式会社(Sociedad Anónima)及び支店の特徴について解説する。
2 ペルーの合同会社、株式会社及び支店の主な特徴
ペルーの合同会社及び株式会社の主な特徴は以下のとおりである。なお、株式会社については、閉鎖会社、普通会社及び公開会社の三種類があるため、それぞれについて整理した。
|
S.R.L |
Sociedad Anónima |
||
閉鎖会社 |
普通会社 |
公開会社[1] |
||
最低資本金 |
なし |
なし |
なし |
なし |
出資者の数 |
2名以上20名以下 |
2名以上20名以下 |
2名以上750名以下 |
2名以上 |
持分権者の責任 |
有限責任 |
有限責任 |
有限責任 |
有限責任 |
株主の先買権 |
あり |
定款で排除しない限りあり |
なし |
なし |
持分の譲渡制限 |
あり |
可 |
可 |
不可能 |
上場の可否 |
不可 |
不可 |
可 |
可 |
業務執行 |
1名以上の出資者又は出資者によって選任される1名以上の執行役員により行われる |
3名以上の取締役により構成される取締役会(取締役会の設置は任意)及び1名以上の執行役員により行われる |
3名以上の取締役により構成される取締役会及び1名以上の執行役員により行われる |
同左 |
取締役・執行役員の国籍・居住要件 |
なし(税務当局等との関係では、外国人役員の執行権限に制限が存する) |
同左 |
同左 |
同左 |
なお、ペルーにおいては、子会社を設立する代わりに支店を設置することもできる。支店については、その設置に際し、割当資本、支店の活動内容及びそれが外国企業の目的の範囲内であることの宣言、支店の住所及び支店の代表者等を定めて、商業登記所へ登記することが必要である。また、支店の割当資本について最低必要金額等の規制はないが、支店の代表者については最低1名がペルー居住者でなければならない。
以 上
[1] 公開会社は、①株主が750名超である、②資本性証券又は資本に転換可能な負債性証券について公募を行ったことがある、③資本の35%超が175名以上の株主により保有されている、のいずれかの要件を満たした会社を言う。
(注)本稿は法的助言を目的とするものではなく、個別の案件については当該案件の個別の状況に応じ、日本法又は現地法弁護士の適切な助言を求めて頂く必要があります。また、本稿に記載の見解は執筆者の個人的見解であり、西村あさひ法律事務所又はそのクライアントの見解ではありません。