◇SH1524◇ベトナム:労働者の採用手続と報告義務(駐在員事務所の場合) 澤山啓伍(2017/12/01)

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ベトナム:労働者の採用手続と報告義務(駐在員事務所の場合)

長島・大野・常松法律事務所

弁護士 澤 山 啓 伍

 

 

 今回は駐在員事務所の採用活動の手順について概説する。駐在員事務所による労働者の採用については、政令75/2014/ND-CP号(以下「政令75号」という。)に定められている特別なルールが適用されるものと考えられている。

 政令75号は、ベトナムにある外国の外交機関、領事館、通信社、NGOなどについて、それらの組織がベトナム人労働者の採用を行う場合には、外務省から委任を受けた機関がその選考、紹介、管理を行うべきことを規定している。

 それに加えて、同政令は、経済・貿易・金融・銀行・保険・科学・技術・文化・教育・医療・法律コンサルティングなどの分野で活動している外国の組織のベトナム駐在員事務所(いわゆる事業会社の駐在員事務所を含むものと考えられる)、及びそこで勤務している外国人個人がベトナム人労働者を雇用する際の手続についても規定している(同政令4条3項、6条)。

 これによれば、駐在員事務所が、労働者を採用する際には、以下の手順に従う必要があるとされている(政令75号第6条)。

  1.  •  労働者の採用を希望する駐在員事務所等は、労働傷病兵社会省又は省級人民委員会の委員長により設立決定を受けた職業紹介機関に対して、採用条件、労働者の権利及び義務等に関する情報を記載したベトナム人労働者採用要請書を送付する。
  2.  •  職業紹介機関は、ベトナム人労働者採用要請書を受領してから15営業日以内に、ベトナム人労働者を選定し、紹介する。職業紹介機関がこの期間中に要請された条件に合致するベトナム人労働者を紹介することができない場合には、駐在員事務所等は、直接採用活動を行うことができる。
  3.  •  駐在員事務所等は、職業紹介機関から紹介を受けた採用であるか、直接採用したかにかかわらず、ベトナム人労働者と労働契約を締結してから7営業日以内に、職業紹介機関に対して、通知書及び労働契約の写しを提出する義務を負う。

 法令上は上記のような規定があるが、実務上は、筆者の知る限り、この規定の存在はあまり知られておらず、実際に上記の職業紹介機関への通知をせずに駐在員事務所がベトナム人労働者の採用を行っているケースは多いものと理解している。法令上は、駐在員事務所等が上記の職業紹介機関に通知を行わず、上記の手続きを経ずに直接採用活動を行うことについて、特段の罰則は定められていない。しかし、労働契約を締結した後、通知書及び労働契約の写しを職業紹介機関に提出するという義務については、これの違反について、千万ドン以上2千万ドン以下の罰金が課される可能性がある(政令88/2015/ND-CP号第1条1項及び16項)ため、ご留意いただく必要がある。

 なお、現地法人や駐在員事務所を含むすべての雇用者は、事業開始から30日以内に、所在地の管轄労働管理局に、労働使用状況についての報告書を提出する必要がある(政令03号第8条1項)。さらに、雇用者は、その後も管轄労働管理局に対して、6ヵ月毎に労働使用状況の変更についての報告書を提出する必要がある(政令03号第8条2項)。これらの報告書の書式は、通達23号の別紙5及び別紙7に定められている。

 

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