SH5127 インド:日本企業への影響はあるか?――インドにおけるSBO報告に関する義務違反に基づく制裁(4) 山本匡(2024/10/04)

組織法務経営・コーポレートガバナンス

インド:日本企業への影響はあるか?
――インドにおけるSBO報告に関する義務違反に基づく制裁(4)――

長島・大野・常松法律事務所

弁護士 山 本   匡

 

(承前)

8 LinkedIn India社のケースの経緯

 登記局[1]は、2024年2月にLinkedIn Technology Information Private Limited(以下「LinkedIn India社」という。)に対し、同社の最終的な親会社である米国のMicrosoft Corporation(以下「MS社」という。)が米国証券取引委員会(Securities and Exchange Commission、以下「SEC」という。)に対し、証券の実質的所有者の変更について報告を行っているにもかかわらず、LinkedIn India社はインド会社法第90条に従ってForm No. BEN-2の届出[2]を行っておらず、したがって、インド会社法第90条が遵守されていないと信じるに足りる合理的な理由がある等として、説明や資料を求める通知(show cause notice)を出した。その後、登記局とLinkedIn India社との間で、メールでの質問と回答、聴聞を含め、複数回の遣り取りがなされた。そして、同年5月に、登記局は、MS社のCEOであるSatya Nadella氏(以下「Nadella氏」という。)、LinkedIn Corporation(以下「LinkedIn USA社」という。)のCEOであるRyan Roslansky氏(以下「Roslansky氏」という。)、LinkedIn India社及び同社の取締役らに対して制裁を科した[3]

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(やまもと・ただし)

2003年弁護士登録。2009年から2017年にかけて、インド・シンガポールで勤務。2015年からヤンゴンにて随時執務。新興国を中心に海外進出、各種リーガル・サポートに携わっている。

 

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