◇SH3344◇インド:2019年消費者保護法上のProduct Liability(4) 山本 匡(2020/10/15)

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インド:2019年消費者保護法上のProduct Liability(4)

長島・大野・常松法律事務所

弁護士 山 本   匡

 

 前回に引き続き、インドの2019年消費者保護法上のProduct Liabilityについて概説する。

 

7.  免責事由

 2019年消費者保護法(CPA)上、以下の各責任主体についての免責事由が規定されている。事由の内容によっては、他の責任主体にも適用することが合理的と思われる免責事由も存在するが、CPAの条文上規定されている免責事由は以下の通りである。

⑴ 製造物販売業者

 損害の発生時に、製造物が誤用、変更または改造された場合には、製造物販売業者に対してPL訴訟を提起することができない。

⑵ 製造物製造者

 適切な警告または指示を出さなかったことを理由とするPL訴訟において、以下の場合、製造物製造者は責任を負わない。

  1. ① 雇用主が製造物をその職場で利用するために購入し、かつ、製造物製造者が当該雇用主に対して警告または指示を行った場合
  2. ② 製造物が、他の製造物に使用される部品または材料として販売され、かつ、製造物製造者が当該部品または材料の購入者に対して必要な警告または指示を行ったものの、当該部品または材料が使用された最終製造物を使用することにより原告に損害が生じた場合
  3. ③ 製造物が、法的に専門家によりまたは専門家の監督下でのみ使用または取り扱うことが想定されたものであり、かつ、製造物製造者が専門家に対して、当該製造物の使用について警告または指示を行うための合理的な手段を講じていた場合
  4. ④ 製造物を使用している間、原告が、アルコールまたは医師によって処方されていない処方薬の影響下にあった場合

 上記に加え、製造物製造者は、製造物の特性を考慮して、当該製造物の使用者もしくは消費者にとって明らかまたは一般的に知られている危険または使用者もしくは消費者が知っているはずの危険についての指示または警告を行わなかった場合、責任を負わない。

 

8.  時効

 時効期間は、原則として、請求を理由付ける事実の発生日から2年である。ただし、CPAに基づき設置された準司法機関である消費者紛争救済委員会が、当該期間内に原告が訴訟提起しなかった十分な理由があると認めた場合、これを延長することができる。

 

9.  PL訴訟におけるその他の救済

 消費者紛争救済委員会は、PL訴訟において損害賠償を命令するだけでなく、例えば、物品またはサービスからの欠陥の除去、欠陥のない同種の新物品との交換、代金の払戻し(利息を付すことができる。)、有害物・危険物の販売禁止、有害物の製造もしくは有害なサービスの提供の停止、容易に特定できない多数の消費者が損失もしくは危害を被ったと判断した場合の同委員会が決定する金額(消費者に販売された欠陥のある物品もしくはサービスの価額の25%以上)の支払い等を命令することができる。

 

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