SH3754 東証、英文開示に関する海外投資家アンケート調査結果を公表 梅津公美/原田寛司(2021/09/14)

組織法務ディスクロージャー経営・コーポレートガバナンス

東証、英文開示に関する海外投資家アンケート調査結果を公表

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業

弁護士 梅 津 公 美

弁護士 原 田 寛 司

 

1 はじめに

 株式会社東京証券取引所(以下「東証」という。)は、上場会社による英文開示の取組みの充実に向けた検討材料の提供を目的として、海外の機関投資家等を対象とする英文開示に関するアンケート調査(以下「本アンケート」という。)を行い、2021年8月30日、その結果を発表した(以下「本結果」という。)。

 東証は、上場会社による決算関連資料やIR資料の英文開示を推進しており、2021年1月27日には、2020年度における英文開示実施状況調査の結果を公表し[1]、同年3月5日には、英文開示のポータルサイトを公表している[2]。また、2021年6月に改訂されたコーポレートガバナンス・コードにおいても、2022年4月の市場再編後のプライム市場上場会社に対し、開示書類のうち必要とされる情報について英語での開示・提供を行うべきである旨が補充原則の一つとして新たに規定された[3]

 そうした背景のもと実施された本アンケートであったが、本結果は、上場会社による現在までの英文開示に関する取組みについて一定の評価がなされていることを示す一方で、英文開示に関する課題も示すこととなった。

 本稿では、本結果のうち、特に重要と考えられる部分について概観する。

 

2 調査結果の概要

 ⑴ 調査概要・回答者属性

 本アンケートの調査期間、調査方法および調査対象は、以下のとおりである。

  1. ア 調査期間は2021年7月1日から2021年8月13日、調査方法は記名式のWebアンケートおよびヒアリング、調査対象は海外機関投資家等である。回答数は54件であり、うち機関投資家の数は48であった。
  2. イ 回答者属性については、機関投資家が大半を占めており、回答者の拠点については、アジア、欧州および米国がほぼ同じ割合で分布している。回答者の約半数が日本語の開示資料を読むことができるスタッフを有している。

※本結果より引用。

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(うめづ・さとみ)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業パートナー。2008年東京大学法学部卒業。2010年東京大学法科大学院卒業。2011年弁護士登録(第二東京弁護士会)。2018年カリフォルニア大学ロサンゼルス校・ロースクール(LL.M)修了。国内外の資本市場における証券発行案件に多数関与した経験を有するほか、不動産ノンリコースローン、プロジェクトファイナンスを含むストラクチャード・ファイナンス取引、フィンテック等の金融分野を中心としつつ、企業法務全般につき幅広く取り扱っている。

 

(はらだ かんじ)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業アソシエイト。2014年慶應義塾大学法学部卒業。2015年弁護士登録(第一東京弁護士会)。2020年米国University of Virginia School of Law(LL.M.)修了。2020年~2021年米国ニューヨークのSimpson Thacher & Bartlett法律事務所勤務。2021年ニューヨーク州弁護士登録。国内外の資本市場における証券発行、金融規制及び一般企業法務を中心に、企業法務全般につき幅広く取り扱っている。

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/

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