消費者庁、「ステルスマーケティングに関する検討会報告書(案)」に関する意見募集の結果の公示
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業
弁護士 臼 杵 善 治
弁護士 久 米 野乃香
1 はじめに
消費者庁が公表した「ステルスマーケティングに関する検討会報告書(案)」(以下「報告書(案)」という。)が、2022年12月2日から2022年12月15日まで実施された意見募集手続を経て、2022年12月28日、「ステルスマーケティングに関する検討会報告書」[1](以下「最終報告書」という。)としてまとめられ、公表された(なお、報告書(案)の内容については前回の記事(「SH4252 消費者庁、「ステルスマーケティングに関する検討会報告書(案)」の公表および意見募集 臼杵善治/久米野乃香(2022年12月22日)」)[2]を参照されたい。)。
最終報告書は、報告書(案)で検討されていた景品表示法5条3号に基づく告示案(以下「告示案」という。)の内容や運用指針等の実質的な内容に関して変更を加えるものではなく、報告書(案)からの主な修正点としては、意見募集手続での指摘を踏まえ、告示案の運用基準に関して、事業者が「表示内容の決定に関与した」とされない場合の具体例が2例加筆される等のマイナーな点に限られている。
他方で、報告書(案)に関する意見募集手続においては、合計164件と比較的多数の意見が寄せられた(「「ステルスマーケティングに関する検討会報告書(案)」に関する御意見の概要及び当該御意見に対する考え方」[3](以下「ステルスマーケティングに関する考え方」という。))。
本件では、そのような意見募集手続の回答のうち、今後の告示案に関する解釈や当局の運用方針等、実務について参考となるようなものについていくつか紹介する。
2 景品表示法5条3号告示案
報告書(案)では、
「事業者が自己の供給する商品又は役務の取引について行う表示であって、一般消費者が当該表示であることを判別することが困難であると認められるもの。」を景品表示法5条3号の告示に新たに指定することで、いわゆるステルスマーケティングを景品表示法の規制対象とすることが妥当である
と整理されているところ、最終報告書においても上記告示案の文言は維持されており、告示案自体について特段変更点はない。
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(うすき・よしはる)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業パートナー。2003年慶應義塾大学法学部卒業。2006年慶應義塾大学法科大学院卒業。2008年弁護士登録(第一東京)。2015年University of London, LL.M. in Competition Law修了。公正取引委員会による審査手続対応、海外当局による調査手続対応、国内外の競争法当局に対する企業結合届出のサポート、競争法コンプライアンスマニュアル作成・競争法コンプライアンストレーニング、流通取引規制に関するアドバイス、景品表示法対応等の多数の案件を取り扱っている。
(くめ・ののか)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業アソシエイト。2018年神戸大学法学部卒業。2020年京都大学法科大学院卒業。2022年弁護士登録(第一東京弁護士会)。
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