SH4319 インドネシア:個人情報保護法の制定(3)――データ保護責任者の選任、越境移転規制 中村洸介(2023/02/20)

取引法務個人情報保護法

インドネシア:個人情報保護法の制定(3)

―データ保護責任者の選任、越境移転規制―

長島・大野・常松法律事務所

弁護士 中 村 洸 介

 

はじめに

 2022年10月17日、インドネシアにおいて個人情報保護法(2022年法第27号)が制定された。本法はインドネシアで初めて包括的に個人情報保護規制を定めた法令であり、現地の従業員や顧客の個人情報を取り扱う日系企業等も対応が求められる。本稿では、前川陽一弁護士の記事(SH4197・4198 インドネシア:個人情報保護法の制定(1)(2))に引き続き、本法の主要な内容を紹介する。

 

5 データ保護責任者の選任(続き)

 データ保護責任者(Data Protection Officer)の制度は、個人情報保護法令の遵守を確保するための施策としてEUのGDPRやシンガポールの個人情報保護法等においても導入されている。本法においても、データ管理者(単独又は共同で、個人データの取扱いの目的を決定し、管理を行う個人、法人、公的機関または国際機関)及びデータ処理者(単独たまは共同で、データ管理者に代わって、個人データの取扱いを行う個人、法人、公的機関または国際機関)は、以下の場合、データ保護責任者を選任することが義務づけられている。

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(なかむら・こうすけ)

2011年早稲田大学大学院法務研究科修了。2012年弁護士登録(第一東京弁護士会)。2019年Columbia Law School卒業(LL.M.)。

2012年に長島・大野・常松法律事務所に入所し、M&A案件を中心に国内外の企業法務全般に従事。ジャカルタ・デスク勤務(2019年10月~2020年)を経て、現在はシンガポール・オフィスに所属し、インドネシアをはじめ東南アジアへの日本企業の事業進出や資本投資、その他現地での企業活動全般についてアドバイスを行っている。

 

長島・大野・常松法律事務所 http://www.noandt.com/

長島・大野・常松法律事務所は、約500名の弁護士が所属する日本有数の総合法律事務所です。企業法務におけるあらゆる分野のリーガルサービスをワンストップで提供し、国内案件及び国際案件の双方に豊富な経験と実績を有しています。

当事務所は、東京、ニューヨーク、シンガポール、バンコク、ホーチミン、ハノイ、ジャカルタ及び上海に拠点を構えています。また、東京オフィス内には、日本企業によるアジア地域への進出や業務展開を支援する「アジアプラクティスグループ(APG)」及び「中国プラクティスグループ(CPG)」が組織されています。当事務所は、国内外の拠点で執務する弁護士が緊密な連携を図り、更に現地の有力な法律事務所との提携及び協力関係も活かして、特定の国・地域に限定されない総合的なリーガルサービスを提供しています。

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