◇SH0081◇企業法務よしなしごと-ある企業法務人の蹣跚19 平田政和(2014/09/12)

そのほか法務組織運営、法務業界

(第19号)

企業法務よしなしごと

・・・ある企業法務人の蹣跚(まんさん)・・・

平 田 政 和

Ⅱ.Sophomoreのために・・・勉強しよう、「知らない」ということを知ろう(その6)

 

【専門誌の読み方の一つのヒント】

 会社では業務に関連する専門誌が数多く回覧される。商事法務、NBL、Business Law Journal、ジュリスト、ビジネス法務、企業法務A to Z、国際商事法務、金融法務事情、判例時報、判例タイムズなどなど。これら以外に米国のロー・スクールのbulletinを英語の勉強を兼ねて自分で購読しているかも知れない。正直なところを言えば、業務で多忙な毎日を過ごしていると、これらに目を通す時間がない。油断をすると直ぐに机の隅に積み上がる。部内の他の人にも回覧する必要があるため、自分の机の上に置きっ放しにしておく訳にも行かない。

 私自身の机もこのような状態になったことが何度かある、というよりもこのような状態になっていた日時の方が多かった。ときどき同僚から「NBLの最新号はありませんか?」などと私の机の上で眠っている回覧対象の専門誌の所在を聞かれることもあった。

 山積みとなったこれらの雑誌の扱いについては、読もうとしていたが結局読めず、あまり長期間手元に留めておいても同僚に迷惑をかけるだけだと回覧票にサインだけして次の人に回すことが多かった。将来役に立つだろうと思われる論文や解説をコピーし、保存したこともあった。目次だけをコピーし、手元に置いておくこととしたこともあった。数多く掲載されている論文や解説のうち、その時点で一番関心のあるものを一つだけを選んで、通勤時に読むことをルールとしたこともあった。

 いろいろと試行錯誤した結果、一番有用だと思ったのは次のルールであり、企業法務人としての最後の十数年間はこの方式を実行した。

 「まず第一に目次を丁寧に読む。1頁あるいは2頁だからそれほど時間はかからない。第二はその雑誌の中の一番関心のある論稿一つは必ず読む。読む時間は、会社の昼休みや通勤時間や休日の我が家での自由時間とした。第三はコピーするのはきっちりと読んだその時点での関心のある論稿だけとする。」というものである。

 目次を丁寧に読んでおくと、後日に必要とする論文、解説や関係する記事を探し出すのに随分と役に立つ。人間の記憶は不思議なもので、何月頃のあの雑誌に載っていた、ということが思い出される。当らずと言えども遠からず、という程度の目星は付く。

 雑誌1冊につき論文あるいは解説記事一つを読むということは、きっちりとした論文や解説記事を読むことを自分に義務付けないと仕事にかまけてこれらを読むことがなくなる。その意味で強制的に論文や解説記事を一つ読むことは知識の深耕だけでなく頭の訓練にも役に立つ。

 コピーについては次のように考えていた。表題や前文だけを読んで、将来役に立つと思ってコピーしたものはほとんど役に立たない。まず、コピーしたこと自体を忘れている。覚えていても書類の山から探し出すことはほとんどできない。私がコピーするのは、読んだ上で将来役に立つと思ったものに限定した。そしてコピーしたものは同じようなテーマについての論文や解説記事と纏めて、自分で簡易製本していた。読まなくてもコピーし、簡易製本していたのは、新規立法についての立法担当官による連続した解説記事でこれは後日解説書が出版されるまでの間の参照用だった。

 会社をリタイアし、私の知識の賞味期限が切れたと判断した時に、これら簡易製本した資料を全て処分したが積み上げると高さ1mを超えていた。

(以上)

 

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