◇SH0311◇銀行員30年、弁護士20年 第26回「大学法学部、法科大学院教師の仕事」 浜中善彦(2015/05/12)

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銀行員30年、弁護士20年

第26回 大学法学部、法科大学院教師の仕事
 
弁護士 浜 中 善 彦
 
 

 平成14年4月から17年6月まで駒澤大学法学部の実務民法担当の非常勤講師を務めた。その後、平成17年9月から23年3月末の定年退職まで、同法科大学院で先端学科の一つである企業ファイナンス法特講の非常勤講師を務めた。会社法担当の特任教授をという依頼であったが、教授は荷が重いので、非常勤講師ならということで引き受けた。
 

 法科大学院の教師をして痛感したのは、法科大学院と法学部とは全く違うという点についての認識があまりない学生が多いことである。法科大学院は法曹養成に特化した大学院である。目的は、司法試験合格であり、卒業しただけでは意味がない。しかし、その点の自覚が不十分なためか、隠れフリーターともいうべき目的意識のない学生が多いように見受けられた。はっきりいって、こういう学生は、法科大学院に進学すべきではない。
 今年の1月に、文科省は、法科大学院改革の一環として、法科大学院に対する補助金の一部についての増減額を発表した。それによれば、52校中42校が減額で、そのうち7校は半減されるという厳しい内容である。駒澤大学法科大学院はその7校の一つとなっている。まことに残念なことである。
 

 私の担当は、週1回、2コマの90分授業であった。
 毎年、事例問題とその解説を作成するほか、会社法全体についてのレジュメを作成して、事前に学生にメールをしていた。レジュメは、学生がサブノートを作る場合、ワープロで必要な加除を加えれば多少とも楽になるのではないかと考えて作成した。A4で36ページほどのもので、ほぼ会社法全体をカバーしている。
 事例問題は前年のものをそのまま用いるということはなく毎年見直しをして、一部差し替えするなどして、毎回改訂をした。レジュメも、法改正があれば当然であるが、そうでない場合も毎年見直しをした。毎回の講義の前の準備に、講義時間の何倍もの勉強をした。そのことは私にとってはかなりな負担であったが、私自身のいい勉強にもなった。
 

 教師を経験するまでは、司法試験の論文式の答案を、暑い夏休みの最中の短期間に、何百通もの答案を1人でどうやって採点するのだろうと不思議に思っていた。しかし、自分で中間試験と期末試験の問題を作成して、採点をしてみて初めて納得できた。
 実際に採点してみると、答案の最初の数行を読んだだけで、不合格答案はすぐわかるということであった。問題はせいぜい3つか4つの論点を組み合わせて作成するが、最初から論点が外れていたり、そうでない場合も些末な論点から書き出していたりする答案が少なくない。そういった答案も、採点をしなければならないから全部読まざるを得ないが、こういう答案は、流れも悪い。また、論述例をそのまま並べたような答案も、流れがよくない場合が少なくない。また無用な論点を勝手に作っているケースが少なくない。これらは、いずれも不合格答案である。
 

 採点をしてみると、この学生は合格はまず無理だから、早く就職したほうがいいといいたくなるような答案がかなりある。3回不合格になって再度入学したいわゆる三振者の答案は、妙な癖がついており、全く問題にならないケースが多かったように思う。
 法科大学院にとっては、法科大学院制度の改革だけではなく、こういった学生の指導をどうするかもきわめて重要な課題であると思う。
 
以上
 
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