銀行員30年、弁護士20年
第52回 生活習慣を変える
弁護士 浜 中 善 彦
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働きながら資格試験に挑戦する場合、生活習慣そのものを見直す必要がある。そして、できるだけ、長期の受験生活を継続できる習慣に改めなければならない。
具体的には、夜型の生活習慣を朝型に変えることである。私は、銀行員として司法試験受験を決めるまで、学生時代からの習慣でずっと夜型の生活をしてきた。そのため、司法試験受験を決めてからもしばらくはそうであった。仕事が済んで、夕食後一休みしてから趣味の読書や勉強するというのはごく自然な生活習慣である。
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しかし、40歳を過ぎで働きながら司法試験受験を志すようになってから、夜型には、次のような欠点があることが分かった。
① 仕事が終わる時間によって、勉強できる日とできない日ができてしまう。
資格試験受験に限らないが、余暇時間を活用して何かを達成しようとする場合、毎日継続することが大事である。資格試験受験の場合でいえば、数時間も勉強する日があったかと思うと、全く勉強しない日があるようではいけない。夜型の場合は、その日の都合によって、飲み会があったり、残業があったりするため、勉強を開始する時間は一定しないのが普通である。場合によっては、全く勉強できない日もできる。まして、仕事をしながら法科大学院へ通う人は、講義のあとさらに勉強するなど到底できる事ではない。1ヶ月や2ヶ月ならあるいは可能かも知れないが、3年も4年もそれを毎日続けるなど不可能である。
② また、講義や仕事の後なので、その日の疲れが残っており、能率もよくない。夜型の場合、1日のうち一番能率の上がる時間帯に仕事をしたり、講義を聴いたりしたあと机の前に座るのであるから、当然、昼間の疲れが出てくる。能率もよくない。毎日必ず一定の時間勉強するためには、夜型は適していない。
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これに対して朝型には、次のような利点がある。
① 決まった時間に起きる習慣をつけることで、出勤前の一定の時間を勉強の時間として確保できる。とりわけ司法試験受験は長丁場であるので、定期試験の直前の勉強のように、短期間に集中的に勉強すればいいというものではない。計画に従って、継続的に努力することが必要である。そのためには、受験のために、毎日一定の時間を確保する必要がある。
② 早朝なので、前日飲みすぎたなどという特殊な事情がない限り、頭はすっきりしており、仕事や講義の後に比べるとはるかに効率がよい。
③ 朝型の生活習慣は、健康のためにもよい。そのことについて書かれたものはいくつもある。また、時間の有効活用が図られ、1日の活動時間が長くなるというメリットもある。
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しかし、生活習慣を変えることは結構大変である。たとえば、禁煙をする、禁酒をするといった場合、喫煙や飲酒の習慣がない人にはわからないかも知れないが、喫煙の習慣がある者にとっては、禁煙をすることは結構大変なことである。そのために、現在では専門の医療があり、薬もあるくらいである。これと同じように、長年夜型だった人が、朝型に生活習慣を変えることは慣れるまでは結構大変である。夜型を朝型にするためには、前日何があろうとも、毎日5時前後には起きなければならない。仕事をしながら法科大学院に通っている人にとって、毎日、5時前後に起きるというのは結構大変である。しかし、それができないようでは、働きながら法科大学院へ通うということは難しいだけではなく、資格取得も覚束ない。
以上