◇SH0410◇ミャンマー:退職手当てと最低賃金 山本 匡(2015/08/28)

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ミャンマー:退職手当てと最低賃金

長島・大野・常松法律事務所

弁護士 山 本   匡

(1)退職手当て

 ミャンマーでは、1900年代前半から半ば頃にかけて制定された各種労働法、及びここ数年にわたり整備されてきた各種労働法が、主要な労働法として存在するが、労働者に対する退職手当ての金額又はその算出方法に関する具体的な規制は存在していなかった。

 ミャンマー労働・雇用・社会保障省(Ministry of Labour, Employment and Social Security)は、2015年7月に、退職手当てについて定めた2015年通達第84号(Notification No. 84/2015)を公表した。これによると、雇用契約を終了させる場合、雇用主は、勤続年数と月額賃金に基づき算出される、以下の退職手当てを労働者に支払わなければならない。対象となる従業員の範囲等、通達に規定されていない事項もあり、その解釈や運用に注目する必要がある。

勤続期間

退職手当ての金額

   6ヶ月以下1年未満

半月分の賃金

   1年以上2年未満

1ヶ月分の賃金

   2年以上3年未満

1ヶ月半分の賃金

   3年以上4年未満

3ヶ月分の賃金

   4年以上6年未満

4ヶ月分の賃金

   6年以上8年未満

5ヶ月分の賃金

   8年以上10年未満

6ヶ月分の賃金

   10年以上20年未満

8ヶ月分の賃金

   20年以上25年未満

10ヶ月分の賃金

   25年以上

13ヶ月分の賃金

 

(2)ミャンマーの最低賃金法

 ミャンマーでは、2013年に、2013年最低賃金法(Minimum Wage law, 2013)が制定された。同法は、公務員等の一定の例外を除き、すべての労働者に適用される。労働者の最低賃金は、既存の給与水準や社会福祉等の諸般の事情を考慮した上で、政府が通達により定めることとなっている。

 2013年の最低賃金法施行後、最低賃金額は未定であったが、すべての産業について、1日当たり3,600チャット(2015年8月3日現在、1米ドル=約1,235チャット)と定める内容で検討されている。しかしながら、労使いずれもこの金額に強く反発しており、最終的な金額がどう定められるか、今後の動向に注目する必要がある。

 

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