カンボジア:カジノ規制の概要(上)
長島・大野・常松法律事務所
弁護士 今 野 庸 介
1 はじめに
日本では2023年4月14日付で特定複合観光施設区域整備法(以下「IR整備法」という。)に基づき大阪の区域整備計画が認定され、2029年の開業に向けて日本初のカジノ施設を含む特定複合観光施設の開発が進んでいる。他方で、東南アジアに目を向けてみると、シンガポールやマカオ以外の国・地域でも、例えば、カンボジアでは2020年11月14日にカンボジアにおけるカジノ・賭博を規制する包括的な法律であるLaw on the Management of Commercial Gambling(以下「ギャンブル法」という。)が制定され、その後下位規則として省令やガイドラインが定められる等カジノ規制の改善・強化が図られている[1]。また、タイでは、カジノに係るフィージビリティ・スタディが実施され、2024年3月末には大型娯楽施設にカジノ施設を併設することを認める委員会報告が議会において承認される等タイ政府はカジノ導入について具体化に向けて動いている状況である[2]。
日本においてカジノ事業を規制するIR整備法は施行済みではあるものの、最初の区域整備計画の認定日から5年経過後において改正の必要性を検討するとされており(IR整備法附則第4条参照)、アメリカのネバダ州におけるカジノ規制は勿論、シンガポール、マカオその他の東南アジア諸国のカジノ規制の内容及び枠組は今後も参考になると考えられる。かかる点を踏まえつつ、本稿においてカンボジアのカジノ規制の枠組・概要を紹介する。
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(こんの・ようすけ)
2014年に長島・大野・常松法律事務所に入所。入所以降、ファイナンス案件を中心に国内外の企業法務全般に従事。2020年にミシガン大学ロースクール(LL.M.)修了。2022年8月よりバンコクオフィスに勤務。現在は、在タイ日系企業の一般企業法務等も含め、幅広く企業法務に関与している。
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