ペルーの知的財産権制度の基礎
西村あさひ法律事務所
弁理士 谷 口 登
1 はじめに
2016年第1四半期の実質GDP成長率は前年同期比4.4%と好調であるが、模倣品・海賊版の輸入、販売量も多い。模倣品・海賊版対策のためには知的財産権の取得・管理が必須である。
ペルーは、コロンビア、ボリビア及びエクアドルと同様、アンデス共同体(Comunidad Andina)の加盟国であり、アンデス共同体の機関である委員会の決議は加盟国において直接適用され、特許、実用新案、意匠等の産業財産権に関する決議第486号、632号及び689号、著作権に関する決議第351号が存在する。
上記決議に基づき、加盟国における知的財産権に関する基本的な制度枠組みは統一されているものの、出願手続き等の詳細については、加盟国は独自に国内法を定めている。
2 産業財産権
⑴ 特許及び実用新案
特許権の存続期間は、出願日から20年間である。
特許要件としては、新規性、進歩性、産業上の利用可能性が求められている。発見、化学的理論、、コンピュータソフトウェア自体、人間や動物の治療方法等は、特許の対象とはなっていない。
特許出願は方式審査が終了した後に出願公開され、利害関係を有する者は公開日から60日以内であれば異議申立を行うことができる。出願人は、公開日から6ヶ月以内に審査請求を行わなければならず、審査請求された出願のみが実体審査が行われる。なお、当該期間内に審査請求が行われなかった場合は、出願は放棄されたものとみなされる。優先審査・早期審査制度は採用されていない。
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